読書でおうち時間も充実!「太陽」がタイトルに入っている日本の小説10選

カルチャー&ライフ

昔から人々にとって身近でありながら決して届かない遠い存在だった太陽は、しばしば映画や小説などの作品のモチーフにされることが多くあります。
そして「モチーフにされる」と言っても作中に直接太陽がキーワードとして登場することもあれば、何らかの比喩として用いられることもあります。

今回はその中でも「太陽」がタイトルに入っている日本の小説を10作品ピックアップし、皆さんに紹介していきたいと思います。
近頃では寒くなるにつれ段々とまた新型コロナウイルスの感染が拡がりはじめ、中々遠出もできない世の中となってしまいましたが、こんな時こそ暖かい部屋の中で読書に耽ってみるのも良いかもしれませんよ。

それでは、1つずつ見ていきましょう。

太陽のない街/徳永直

「太陽のない街」は、徳永直による1929年(昭和4年)のプロレタリア小説(※)です。
この作品は作者である徳永自身の経験が元になっており、1926年に当時の東京市小石川区で勃発した共同印刷株式会社(作中では「大同印刷」となっている)における大規模な労働争議の様子が描かれています。

作中に登場する大同印刷の工場で働く労働者の多くは、東京随一の貧民居住地に暮らしており、人々がそこを「太陽のない街」と揶揄したことから、このタイトルが付けられたと言われています。
この作品は発表当時大いに話題になり、作者の徳永はこれを機に専業作家への道を進むことになったそうです。

※プロレタリア小説…労働者の厳しい現実を描いた小説。

黒部の太陽/木本正次

「黒部の太陽」は木本正次による1964年(昭和39年)の作品で、「太陽のない街」と同じくプロレタリア小説となっています。
当時「世紀の難工事」と呼ばれた黒部ダムの建設に関わる人びとの苦闘する姿が克明に描かれています。

この作品を原作として1968年には映画が製作され、1969年と2009年にはドラマ化もされています。
特に映画はそもそもの原作人気にあわせ、当時日活の看板スターとして名を馳せていた三船敏郎と石原裕次郎が起用されたことにより、公開後は巨大な興行収入を上げ話題となりました。
今では「日本映画の金字塔」として、公開から50年以上経ってもなお多くの映画好きに支持されています。

太陽の季節/石原慎太郎

「太陽の季節」は、作家であり元東京都知事でもある石原慎太郎が1955年(昭和30年)に発表した短編小説です。
ボクシングに熱中する傍らで酒や煙草に溺れる自堕落な生活を送っている空虚な青年が、一人の女性と出会ったことにより感情を揺り動かされていく様子が、当時20代前半だった石原の瑞々しい感性によって描かれています。

この作品ではいわゆる「不良」が主人公となっているため発表当初は多くの賛否両論が巻き起こりましたが、その当時としてはセンセーショナルな題材が評価され、1955年度の「第1回文學界新人賞」を受賞しています。
また翌1956年には「第34回(1955年下半期)芥川賞」も受賞し、同年5月には映画化もされています。

太陽の子/灰谷健次郎

「太陽の子」(たいようのこ/てだのふあ)は、灰谷健次郎による1978年(昭和53年)の児童向け小説です。
太平洋戦争から30年後の兵庫県神戸市が舞台となっており、沖縄で生まれ育った両親を持つ主人公の少女が、沖縄戦やそれによって心に傷を負った沖縄出身者達の想いに触れ、戦争や差別の歴史を知っていく様子が描かれています。

タイトルの1つの読み方でる「てだのふあ」は、沖縄方言で「たいようのこ」を意味しています。
1980年には「太陽の子 てだのふあ」のタイトルで映画化され、1979年と1982年にはドラマ化もされています。 また舞台劇としても人気を博しており、様々な劇団によって度々舞台化、ミュージカル化もされています。

太陽の世界/半村良

「太陽の世界」は、半村良によるSF大河小説です。
温和な民族である「アム」が戦闘民族に故郷を追われたことをきっかけに約束の大地「ラ・ムー」を目指す中で、様々な民族に出会い、やがて新たな帝国を築いていくという内容になっています。

この作品は、空想上の大陸である「ムー大陸」の2000年に渡る歴史をなんと全80巻かけて描き切るという壮大な構想の下スタートし、1980年から1989年の間に18巻まで刊行されましたが、作者である半村自身が2002年に死去したため、現在に至るまで未完のままとなっています。

太陽の塔/森見登美彦

「太陽の塔」は、「四畳半神話大系」や「夜は短し歩けよ乙女」などの人気作品を数多く発表している森見登美彦のデビュー作となっており、2003年(平成15年)に出版されています。
京都大学に在学しているものの現在は自主休学中の主人公である「私」が、かつての恋人を「研究と観察」という名目で追いかけ続けるというストーリーの青春小説です。
また作中には、タイトルにもなっている万博公園の「太陽の塔」が印象的な存在として度々登場しています。

後に確立される「森見ワールド」へ繋がる要素が随所に散りばめられたこの作品は発表当時から非常に高く評価され、2003年度の「第15回ファンタジーノベル大賞」を受賞しています。
ちなみにこの時選考委員として参加していた日本を代表する劇作家、放送作家の井上ひさしは、この作品に対し「文句なしの快作」と絶賛の声を送っていたそうです。

太陽は動かない/吉田修一

「太陽は動かない」は、吉田修一による2012年のアクション小説です。
日本の産業スパイ組織「AN通信」に所属する2人のスパイが、太陽エネルギー開発の機密情報を巡って各国のエージェントと頭脳戦を繰り広げる様子が描かれています。

「2人のスパイの心臓には爆弾が埋め込まれ、24時間以内にミッションを遂行しないと爆死する」という設定は、読み手にこの上ないスリルを与えてくれること間違いなしです。
また「次世代エネルギー開発に潜む謎を追う」という内容となっているため、太陽光発電を扱う当社としてはこの辺りも見どころだと言えるでしょう。
この作品もまた映画化され、2021年に公開されました。

太陽/前川知大

「太陽」は、劇作家や舞台演出家として活躍する前川知大による小説です。
物語の舞台は未知のウイルスによって人口が激減する21世紀初頭となっており、感染を乗り越え強く若々しい肉体を手に入れた「ノクス」と感染に怯えて暮らす旧人類「キュリオ」の2つの種族に分かれた人類たちの苦悩、絶望、希望などが描かれた近未来SF作品です。

この作品は作者が2011年に舞台のシナリオとして書き下ろしたもので、2014年には日本を代表する演出家、蜷川幸雄の演出による舞台も行われています。
また、2016年には映画化もされています。

錆びた太陽/恩田陸

「錆びた太陽」は、「夜のピクニック」や「蜜蜂と遠雷」などで有名な恩田陸が2016年に発表した近未来SF小説です。
原発事故で汚染され人が立ち入れなくなった地域をパトロールしている7体のロボット達と、そこに突如現れた「財護徳子」という人間の女性との関わりや原発事故後の世界の様子を描いています。

妙に人間らしいロボットや個性的な徳子の振る舞いなどコミカルな要素満載な作品となっていますが、一方で原発を生み出した人間の滑稽さなども感じさせるシニカルな作品となっています。

凍てつく太陽/葉真中顕

「凍てつく太陽」は、児童文学やミステリー小説を多く手掛ける葉真中顕による2018年の小説です。

終戦間近の北海道を舞台に、軍需工場関係者を狙った毒殺事件が次々と連鎖していくこの作品では、事件を通して大戦下の北海道における混乱や、当時実際にあったアイヌ民族や朝鮮人に対する差別などを描いています。
しかし決して重々しくならずに読み進めていける、壮大なエンターテインメント小説となっています。

まとめ

今回は「太陽」がタイトルに入っている日本の小説10作品を紹介していきましたが、
紹介した中から「これ面白そう!」「読んでみたい!」と思える作品は見つけられましたでしょうか?
普段から読書をする人はもちろん、あまり本は読まないという人も、これを機に様々な本にチャレンジしてみるのも良いかもしれませんよ。
そして当コラムが、少しでも皆さんのおうち時間を充実させるきっかけになれば幸いです。

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