南半球にあるオセアニアは、オーストラリア大陸と太平洋に浮かぶ火山島とサンゴ礁の島で構成されています。
これらの島々が織りなす美しい自然環境の数々を保護するべく、オセアニアには多くの国立公園があります。
今回は、その中から厳選した10ヶ所を紹介していきます。
ウルル=カタ・ジュタ国立公園(オーストラリア)
ウルル=カタ・ジュタ国立公園は、オーストラリアのノーザンテリトリーにある国立公園です。
園内には、地球のへそと呼ばれるウルル(エアーズロック)と、同じく岩石の山であるカタ・ジュタ(オルガ山)がそびえています。
この場所はアボリジナル・ピープルの重要な聖地の1つでもあり、古来より残るアボリジナル・ピープルの痕跡を随所に見ることが出来る文化的な場所でもあります。
園内には、セイキインコ、コシアカショウビン、チャイロハヤブサなどの160種の鳥類と、トゲトカゲ、トゲホップマウスが生息しています。
植物は「逆さま植物」という意味でマメ科のアップサイドダウンスプラウトや、マツバボタンの一種のパラキーヤなどが生育しています。
クレイドル山=セント・クレア湖国立公園(オーストラリア)
クレイドル山=セント・クレア湖国立公園はオーストラリアのタスマニア州北西部に位置する国立公園です。
オーストラリア最大の島であるタスマニア島のクレイドル山から南西の岬まで広がる、タスマニア保護区の一部となっています。
この公園の特徴は、非常に広大な敷地を有していることです。
園内にはタスマニアの冷温帯が広がっており、中心部にはクレイドル山とセント・クレア湖が静かにたたずんでいます。
夏にはワイルドフラワーの花が咲き、秋には森林中に紅葉が広がります。
手つかずの大自然が織りなす景観の美しさは、世界でもトップクラスだと言えます。
1982年、クレイドル山=セント・クレア湖国立公園を含むこの一帯は、タスマニア原生地域として世界遺産に登録されています。
ナンバン国立公園(オーストラリア)
ナンバン国立公園は、オーストラリアの西オーストラリア州南西部にある国立公園です。
公園名である「ナンバン」は、オーストラリア先住民族アボリジニの言葉で「曲がる・ねじまがる」という意味を持っています。
公園内には同じ名前を持つナンバン川が横切っており、石灰岩の中のナンバン洞窟から地下を経由しインド洋に流れています。
この公園の見どころは、「ピナクルズ」と呼ばれる石灰岩の奇岩群が並ぶピナクルズ砂漠です。
「ピナクル」とは「小尖塔」という意味で、ナンバン国立公園の広大な砂漠の上には無数のピナクルが並んでいることから、「ピナクルズ」と呼ばれています。
石灰岩が柱状に風化して生まれた代償のピナクルがそびえるピナクルズ砂漠には、まるで異世界のような殺伐とした光景が広がっていることから、映画のロケ地としても度々使用されています。
パヌルル国立公園(オーストラリア)
パヌルル国立公園は、オーストラリアの西オーストラリア州北部にある公園です。
公園名である「パヌルル」は、「キジャ」と呼ばれるアボリジニの民族集団の言葉が由来となっています。
この公園の見どころは、「バングル・バングル(バンドゥ・バンドゥ)」と呼ばれる奇岩群です。
バングル・バングルはアボリジニの言葉で砂岩を意味するか、あるいは英語のbundle(束)の訛であると言われています。
微生物によって変色した黒い層と風化した砂岩が交互に重なることで生まれたバングル・バングルは、いびつなドームのような形をしており、表面には褐色の縞模様を描いています。
この「地球最後の秘境」とも評される独特な景観によって、2003年には世界遺産に登録されています。
ブルー・マウンテンズ国立公園(オーストラリア)
ブルー・マウンテンズ国立公園は、オーストラリアのニューサウスウェールズ州にある国立公園です。
シドニー有数の景勝地である、ブルー・マウンテンズ一帯を保護しています。
ブルー・マウンテンズは過去3億年の間に起きた、シドニー盆地の西側を突き上げる地殻変動により形成されました。
近年は玄武岩を伴った火砕流が周辺一帯を覆っており、ごくまれに山頂部で露頭を見ることができます。
険しい地形、絶壁、ユーカリの森、滝などが織りなす壮大な景観は圧巻です。
園内には北部のウォランガンベ川、中央部のグロス川、南部のコックスズ川とウォロンディリ川という、地域の集水のほとんどを担う4本の主要河川が流れています。
なお、コックスズ川とウォロンディリ川は、公園に隣接するダムに流れています。
トンガリロ国立公園(ニュージーランド)
トンガリロ国立公園は、ニュージーランドの北島中央部にある国立公園です。
1894年に山岳地帯を保護する目的で生まれた、ニュージーランドで最も古い国立公園です。
園内には、北島最高峰のタフランギ峰を有するルアペフ山や、富士山に似た稜線を持つナウルホエ山、エメラルド色に輝く火山湖を有するトンガリロ山などがそびえ立っています。
ルアペフ山、ナウルホエ山、トンガリロ山の三峰は、マオリ族古来の聖地でもあります。
園内にはマキ科の森林やブナ林が広がり、ニュージーランド北島の固有種であるノースアイランド・ブラウン・キーウィをはじめとした鳥類が56種生息しています。
火山活動が今なお活発であること、マオリ族の文化が根付いていること、自然環境が豊かなことなどから、1990年には世界遺産に登録されています。
テ・ウレウェラ国立公園(ニュージーランド)
テ・ウレウェラ国立公園は、ニュージーランドの北島東部にある国立公園です。
この公園のある土地は、かつては海底だった場所が2000万年前に隆起し、その後の侵食で複数の渓谷が形成されたことによって生まれたと考えられています。
園内には、650種類以上の植物が生息しています。
公園の南部にはブナが、北部にはリムノキとベイルシュミーディア・タワが生い茂っています。
また、この公園は野鳥の楽園としても有名です。
園内には、北島で絶滅が危惧されるノースアイランド・ブラウン・キーウィ、ハシブトホオダレムクドリ、カカ、ニュージーランドファルコン、アオヤマガモなどが生息しています。
さらに公園北部は、ニュージーランド最大のハシブトホオダレムクドリの生息地となっています。
フィヨルドランド国立公園(ニュージーランド)
フィヨルドランド国立公園は、ニュージーランドの南島南西部にある、ニュージーランドで最大の国立公園です。
園内には氷河期に形成されたフィヨルドが点在しており、中でも有名なものが「ミルフォード・サウンド」というフィヨルドです。
フィヨルドの他にも、サザン・アルプスの山々、ケプラー山やマーチソン山などが並ぶことで、非常に険しい地形を形成しています。
内陸部には、テ・アナウ湖やポテリテリ湖といった国内でも有数の大きさを誇る湖や、国内最長のサザランド滝をはじめとした多数の滝があります。
また、園内に吹きつける冷たい偏西風が植物の育成を促し、「フィヨルドランド多雨林」と呼ばれる温帯雨林が形成されています。
このように数々の雄大な自然景観を有していることから、1986年には世界遺産に登録されています。
アオラキ/マウント・クック国立公園(ニュージーランド)
アオラキ/マウント・クック国立公園は、ニュージーランドの南島南部にある国立公園です。
総面積のうち約40%が氷河に覆われており、標高3754mのニュージーランド最高峰である「マウント・クック」を有しています。
園内のほとんどの場所が森林限界よりも標高が高いため森林が存在しない一方で、マウンテンバターカップ、デイジーなどを含む約300種の植物が生育しています。
また、園内にはキーア、ニュージーランドファルコンなどの鳥類が約40種生息し、昆虫類や爬虫類も数多く見られています。 ダイナミックで神秘的な景観を有していることから、1990年には近隣の国立公園らと共にテ・ワヒポウナムの名称でユネスコの世界遺産に登録されています。
アメリカン・サモア国立公園(サモア)
オセアニア東部のポリネシアに属するサモア諸島は、サモア独立国の西サモアとアメリカ領の東サモアに分かれています。
アメリカン・サモア国立公園は、アメリカ領サモアにある国立公園です。
この公園は、トゥトゥイラ島、オフ島、タウ島という3つの火山島で構成されており、園内の大半をサンゴ礁、熱帯雨林、コウモリの生息地が占めています。
総面積のうち約30%が水域となっており、景勝地としてだけでなくシュノーケリングやスキューバダイビングを行うスポットとしても人気です。
さらに戦争の遺物や古来より伝わる遺跡などもあり、文化的な価値も高い場所です。
まとめ
オセアニアの国立公園では、雄大な山々や奇岩群、そしてフィヨルドなど、幅広い自然を保護していることが分かりましたね。
なお、今回紹介した国立公園には、観光地として行ける場所もあれば、様々な事情で立ち入ることが難しい場所もあるので、もし「いつか行きたい!」と思った場合は一度調べてみることをオススメします。