ミレニアル世代/Z世代は環境意識が高い?その理由を徹底調査!

環境問題

2019年9月、ニューヨークにて開催された「国連気候行動サミット2019」では、スウェーデンから参加した弱冠16歳(当時)のグレタ・トゥーンベリさんが各国政府の気候変動に対する取り組みの甘さを強く批判し、一刻も早い対策を打つことの重要性を涙ながらに訴えました。
グレタさんのこの演説は世界中の注目を集め、人々が気候変動について深く考えるきっかけとなりました。

近年ではグレタさんに限らず、環境問題に強い関心を抱くいわゆる「ミレニアル世代/Z世代」の若者たちが多くなっています。
国際機関「世界経済フォーラム」の調べによると、ミレニアル世代のうち約半数は気候変動を問題視し、Z世代のうち約90%近くが社会問題及び環境問題を意識していることが分かっています。

一体今を生きる若者たちは環境問題をどのように考え、またどのような取り組みを行っているのでしょうか。
今回はミレニアル世代とZ世代の環境意識が高い理由を探りつつ、次世代を生きる若者たちから「環境問題との新しい向き合い方」について学んでいきたいと思います。
まさに「自分はミレニアル世代/Z世代だ」という人は、当コラムを読みながら「自分はどんな風に環境問題を捉えているかな?」と考えてみてはいかがでしょうか。

それでは、一緒に見ていきましょう。

ミレニアル世代/Z世代の特徴

ミレニアル世代とZ世代の環境問題との向き合い方を知る前に、まずは2つの世代の特徴から見ていきましょう。
この2つの世代データは元々アメリカが定義しておりまだ曖昧な部分もあること、また人によってその特性には大なり小なり差があることは前提とした上で、大まかな特徴のみを紹介していきます。

ミレニアル世代

ミレニアル世代は、2020年現在の時点で20代後半~30代後半くらいの年齢となっている人々を指す総称です。
ミレニアル世代はデジタル市場の成長と共に育ち、幼少期から様々な検索エンジンやSNSの台頭を目の当たりにしてきたため、「デジタルパイオニア」と呼ばれることもあります。
そんなミレニアル世代の特徴には、次のようなものがあります。

・話題の情報はネットニュースやSNSでチェックする
・自らが情報発信源(YouTuberやインスタグラマー)になる人が多い
・ミニマル的な思考が強く、必要以上に物を持たない
・物(モノ)よりも体験(コト)に価値を見出す
・社会的な課題に取り組む仕事や企業に興味を持つ

上記を見ると、ミレニアル世代以降は「情報源はテレビか新聞」、「就職するなら大手企業」などといった人々の中にある既存の価値観が大きく変わったことが分かりますね。

Z世代

Z世代は、2020年現在の時点で主に10代前半~20代前半くらいの年齢の人々を指しています。
ミレニアル世代がデジタル市場と共に成長したのに対し、Z世代は生まれた頃もしくは物心ついた頃には既にスマートフォンや高速インターネットが当たり前のように身近にあったため、しばしば「デジタルネイティブ」とも呼ばれます。
ちなみに冒頭で触れたグレタさんは、このZ世代に該当します。
Z世代の主な特徴は前述したミレニアル世代とほぼ変わらない他に、次のようなものがあります。

・1つのSNSの中に複数のアカウントを作って用途別に使い分ける
・インターネットを介した人とのつながりを重視する
・お金をあまり使わない
・物を買う時はブランド性よりも「ユニークさ」や「自分らしさ」を重視する

Z世代はミレニアル世代よりもさらに個々の多様性を重視する傾向が強く、またSNSとの距離も近いことが分かりますね。

若い世代の環境意識が高い理由

前章でも述べた通りミレニアル世代とZ世代には、共にSNSが当たり前のように生活の一部として浸透しています。
そのため今世界で起きている社会問題や環境問題にSNSを通して触れる機会が多く、「それらの問題に対する当事者意識が芽生えやすい」というのが、環境意識が高い理由の1つだと言えるでしょう。

有名アーティストやインフルエンサーがSNSを介して環境保全活動への参加を呼び掛け、それによる影響で環境問題を意識し始めるというケースも多いようです。
またYouTubeなどの動画配信サービスを活用して自らが発信者となり、視聴者たちの環境意識の向上を促そうとする若者たちも年々増えています。

そして、この2つの世代(特にミレニアル世代)は2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ、2011年3月11日に発生した東日本大震災など、社会を揺るがす衝撃的な出来事をリアルタイムで見ています。
その経験からか、他国で起きている出来事に対しても決して「対岸の火事」とは思わず、「自分たちの身近にある、自分たちが解決すべき問題」として捉える傾向が強いと言われています。

他にも早くから「ダイバーシティ(多様性)」や「サスティナビリティ」などに関する教育を受けていることも、若い世代の環境意識向上に影響を与えています。

若い世代が今最も懸念している環境問題とは?

世界経済フォーラムの調べによると、世界各地のミレニアル世代やZ世代に該当する若者たちの多くが今最も意識している環境問題は「気候変動(とそれによる環境破壊)」だということが分かっています。
中でもニュージーランドをはじめとしたオセアニアの国々に暮らす若者たちは気候変動を日々直接感じているため、将来的な環境の変化については他の国の若者たちよりも真剣に考える傾向があるそうです。

SDGsにも強い関心を持つ若者たち

「2030年までに達成すべき国際的な17の目標」として2015年に国連サミットで策定されたSDGsに対する若者たちの認知度も、ここ1,2年の間で飛躍的に向上しています。
中でも大学生・大学院生のSDGsに対する関心は高く、2020年度のSDGs認知度調査では社会人が約25%だったのに対し、大学生・大学院生は50%以上という結果が出ています。
これにはもちろん「社会人よりも学生の方が講義などの機会を通してSDGsに触れやすいから」という理由もありますが、自発的に関心を持った層も少なくないそうです。
環境問題に限らず、若い世代はジェンダー問題や貧困問題、働き方などにおいても積極的に話し合うことが多いため、SDGsに関心を持つのは自然の流れだと言えるのかもしれません。

ちなみに、近年では就職活動をする際に「この企業はSDGsに取り組んでいるか否か」という点を1つの指標とする学生も多いようです。
次世代を担う若者たちこそが、SDGs達成の鍵となるのかもしれませんね。

デジタルから広がる、次世代型の環境問題への取り組み

2020年4月、日本では政府や各自治体に温暖化対策を求める「デジタル気候マーチ」がSNS上で開催されました。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためにオンライン開催となったこの環境イベントですが、結果的には全国から若者を中心に多くの人々が参加しました。
またこの運動には、モデルの水原希子さんなどの著名人も参加しています。

環境問題に限らず、近年ではデジタルゆえに広範囲に情報がシェアされ、結果的に大きなムーブメントを巻き起こすことが多くなっています。
そして、そのムーブメントの中心にはやはりミレニアル世代またはZ世代がいる場合がほとんどです。
前出のグレタさんも、2018年にスウェーデン国会を前にたった一人で抗議活動を行うようになってからは、瞬く間に300万人以上のTwitterフォロワー数を獲得しています。

今後もデジタルプラットフォームはミレニアル世代とZ世代を中心に、世界中の人々と環境問題への危機感および対策意識を共有する場として大いに活用されていくことでしょう。

まとめ 

今回は、ミレニアル世代およびZ世代の環境意識が高い理由についてチェックしていきました。
今も昔も世代ごとの感覚の差、そして社会問題との向き合い方の違いというのはありますが、こと環境問題(さらにはSDGs)においては、世代関係なく関心を持つ人が増えることを願うばかりですね。

参考URL:
・経済産業省「共通価値を取り込む新たな成長の要請」
・IDEAS FOR GOOD「世界中の若者が団結。「デジタル気候マーチ」で気候変動対策強化を目指す」

タイトルとURLをコピーしました