古くから、日本は諸外国よりも地震が頻発することから「地震大国」と呼ばれています。
そのため日本の建築物は耐震構造になっていたり、日本に住む人々も日ごろから防災グッズを備蓄していたりなど、地震対策はどこの国よりも進んでいると言えます。
そんな中、あまり浸透していないのが「室内用耐震グッズの導入」です。
建物の耐震性や防災グッズを重要視する人は多いものの、耐震グッズを使用しているという人は意外と少ないのが現状です。
しかし、地震による被害の中で30~50%を占めているのは、家具の転倒や落下によるものだと言われています。
そんな事態を防ぐために必要なのが、耐震グッズなのです。
そこで今回は、耐震グッズの重要性や、代表的な耐震グッズなどについて解説します。
耐震グッズが必要な理由
大きな地震が発生したとしても、耐震性を備えている建物であれば倒壊などの被害リスクは低いと言えます。
しかし、室内の食器棚や冷蔵庫などに何の耐震対策もしていない場合、それらが転倒したり、落下したり、飛び散ったりすることによってケガをしてしまう可能性があります。
また、たとえ小さな地震だったとしても、不安定な家具の場合倒れる可能性は十分あり得ます。
だからこそ地震発生時に家具や家電などが動かないよう、事前に耐震グッズを使った対策をしておく必要があるのです。
耐震対策をせずに地震に遭った場合のリスク
ここでは、何の耐震対策もしない状態で被災してしまった場合、どのようなリスクが発生するかについて考えてみましょう。
まず、家具や家電などの転倒によって、大切に扱っていた財産が壊れてしまうことが考えられます。
このような財産の損失は、被災後の生活にも影響を及ぼしかねないでしょう。
次に、地震発生時に倒れた食器棚から落ちて割れた食器などによってケガをしてしまう可能性があります。
食器などの小さいものならまだしも、自分より背丈の高い大型家具の下敷きになった場合、身動きが取れずそのまま圧死してしまう可能性もあります。
1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災では、死者6400名余りのうち4400人が倒壊家屋や未固定の家電・家具による圧死だったと言われています。
また、ケガをするのはなんとか免れても、倒れた家具や家電が避難の妨げになることも考えられます。
倒れた家具によってドアが開かなくなり、部屋から出られず逃げ遅れてしまうということも十分にあり得るのです。
家具が転倒したことによって、せっかく用意した防災グッズが倒れた家具の下敷きになってしまうということもあるかもしれません。
このように、家具や家電を固定しないことによって発生するリスクは挙げればキリがありません。
だからこそ、やはり室内の耐震対策は重要だと言えます。
そして災害発生後、医療機関にはケガ人が殺到することが想定されますが、もしかすると医療機関自体が大きな被害を受けている可能性もあります。
その場合、すぐに適切な治療が受けられる保証は無いため、やはり出来る限り自分で身を守る必要があるのです。
代表的な耐震グッズ
耐震グッズには業者に施工依頼が必要な大がかりなものから、誰でも自力で設置できる手軽なものまで様々な種類があります。
今回はその中から、特に入手も設置も手軽な耐震グッズを紹介します。
耐震マット
耐震マットは粘着性のある透明なジェル状のマットで、食器棚やテレビなどの下に貼り付けることで床や棚板と密着させ、地震の揺れや衝撃を吸収して転倒を防ぐというものです。
転倒を防ぎたい家具や家電の下にさっと敷くだけなので、使い方も簡単です。 もし汚れや埃などが付着して粘着力が落ちても、水洗いすれば再び粘着力が戻るため、繰り返し使用できるのもメリットです。
ただし設置したい床や棚板の材質によっては、うまく粘着しない場合もあります。
また、商品によっては有効期限が定められているものもあり、その場合は定期的に交換する必要があります。
転倒防止ストッパー
転倒防止ストッパーは、家具の底の前面下部に挟み込み、家具を壁側に若干傾斜させることで転倒を防ぐ器具です。
近年では、くさび型のもの、テープ状のもの、シート状のものなどが販売されています。
転倒防止ストッパーはその構造上、家具の転倒を根本的に防ぐものではなく、あくまでも補助的な位置づけとなっています。
各メーカーからも、単独使用ではなく他の耐震グッズとの併用が推奨されています。
扉開き防止器具
食器棚などの家具に取り付け、地震発生時に中の食器等が落ちてくるのを防いでくれる器具です。
開き戸の右側と左側にそれぞれ器具を設置し、チェーンやフックなどで両方の器具をつないで扉が開くのを防ぎます。
最近では、地震を感知すると扉をロックし、収まると自動的にロックが解除されるタイプも販売されています。
ガラス扉の食器棚に設置する場合は、一緒に飛散防止フィルムも貼っておくのがオススメです。
転倒防止用突っ張り棒
DIYなどでおなじみの突っ張り棒の中には、家具の転倒防止に特化したタイプもあります。
転倒防止用突っ張り棒は、アルファベットのHを横向きにしたような見た目が特徴で、天井と家具の上部を固定するのに使用します。
天井と家具の間隔に合わせた様々なサイズが販売されているため選びやすく、かつ簡単に設置できるのが特徴です。
しかし、天井の材質や強度によっては上手く固定できずに天井に傷をつけてしまう場合があるため、使用する際は事前に天井の強度を確認しておくことが大切です。
L字型金具
数ある耐震グッズの中でも、とりわけ高い効果を発揮するのがL字型金具です。
設置方法は簡単で、L字型の金具をネジで止めて直接家具と壁を固定するというものです。 同じように家具と壁を固定するタイプとしては、チェーンやベルト型の器具もあります。
ただし、このタイプは壁の材質や強度によっては取り付けができない上、家具と壁に穴を空けることになるので、賃貸物件で使用するのは難しいでしょう。
耐震グッズを選ぶ際のポイント
ここまで紹介した耐震グッズは、現在様々なメーカーが販売しており、ホームセンターやネット通販などで簡単に購入することができます。
しかし商品数が多いからこそ、「一体どれを買えばいいの?」と迷ってしまうかもしれません。
そんな時は、商品パッケージに書かれている「震度○○まで対応」といったような表記をチェックすることをオススメします。
このような情報はメーカー独自の実証実験の上で公表しているものとなっており、耐震性能に関してJISなどが明確に規格を定めているわけではないため、あくまでも参考程度のものです。
しかし何の表記もされてない商品よりは、実証実験の内容や対応震度が記載された商品の方が安心感があり、かつ高い効果を期待できると言えます。
その他、部屋の構造や予算なども照らし合わせた上で、それぞれのご家庭に合った耐震グッズを選ぶと良いでしょう。
なお耐震グッズは一種類ではなく、たとえば耐震マットを敷いた上で突っ張り棒も設置するといったように、いくつかの種類を併用することをオススメします。
まとめ
地震が頻発する日本に住んでいると、良くも悪くも地震に慣れてしまい、うっかり対策を後回しにしてしまいがちです。
しかし耐震対策を怠っていると、いざ実際に大きな地震が発生した際、自分や家族が大きな被害を受けてしまうかもしれません。
食料などの基本的な防災グッズの備蓄はもちろん、地震発生時に転倒の可能性がありそうな家具や家電があれば、早めに耐震グッズを設置して備えておきましょう。
なお、自宅の防災力をさらにアップさせたい場合は、耐震グッズと合わせて太陽光発電システムや蓄電池を導入するのもオススメです。
太陽光発電システムと蓄電池の備えがあれば、地震や台風などの影響で電力供給が止まってしまった場合でも、非常用電源として最低限の電力を賄うことが出来ます。
当社は太陽光発電と蓄電池の販売・施工を長年手掛けてきた実績があるため、もし導入を検討されていましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
参考URL:家屋、家具の安全対策 3.家具の転倒防止(消防防災博物館)
参考URL:家具の固定 ~命を守る3つの自助の取組~(埼玉県)
参考URL:家と家族を守るおすすめの耐震グッズとは?買っておきたい必需品と使用方法(DIY Clip)