人類が今のような文明を築き上げる遥か前には、まさに「生命の祖先たち」と言える古代生物が何種類も生息していました。
残念ながらその多くはとうの昔に絶滅しているため、直接この目で見ることはできませんが、今でも古代生物の名残を持つ魚や昆虫は沢山存在しています。
今回は地球の歴史を少しでも身近に感じるためにも、やや不気味でありながらもユーモアに溢れた古代生物たちを紹介していきたいと思います。
アノマロカリス
アノマロカリスは、古生代カンブリア紀(約5億2,500万~5億500万年前)の海に生息していた節足動物の1種です。
「アノマロ」にはラテン語で「奇妙な」、「カリス」には「エビ」という意味があります。
全長は1メートル程度で、ナマコのような胴体の両側にそれぞれ10枚以上のヒレが並び、飛び出した眼をギラリと光らせています。
また、縦にぱっくりと割れたような形状の口の内側からは、鋭い棘が生えています。
このように捕食に適した形態を持っていたアノマロカリスは、カンブリア紀における生態系ではトップに 君臨していたと考えられており、「世界最古の大型捕食者であり生態系の覇者」として古代生物の中でも高い知名度を誇っています。
オパビニア
オパビニアはアノマロカリスと同じく、カンブリア紀に海底の表層部に生息していた生物です。
全長は4~7センチメートル程度で、頭部についた5つの目玉と、象の鼻によく似た柔らかいチューブ状の器官が特徴です。
5つの目玉は前方だけに限らず、360度すべてを見渡すことができたそうです。
またチューブ状の器官は、海底の砂利をかき分けて獲物を探すのに役立ち、食事する時は獲物を掃除機のように吸い取って食べていたと考えられています。
オパビニアはカンブリア紀の生物の中でも特に生物グループへの分類が難しく、長年議論が交わされていましたが、最終的にはアノマロカリスと同じ節足動物として有識者たちの間では見解が定まっています。
三葉虫
三葉虫は、カンブリア紀から古生代終期であるペルム紀(約5億2,500万~2億5,000万年前)に生息していた海生生物です。
三葉虫という名前は、胴体の部分が縦に3つ分かれているように見えることから付けられました。
発見される化石の数が多いことから、「古生代を代表する無脊椎動物」としてその名を知られています。
発見された化石には1センチメートルにも満たないものから60センチメートル近くあるものまで見つかっており、その大きさは個体ごとに様々だったことが分かっています。
基本的に捕食される側だった三葉虫は、硬い殻を持つことで捕食者側の生物から身を守っていたと推測されています。
カメロケラス
カメロケラスは、オルドビス紀中期(約4億6,000万年~4億7000万年前)の間にシベリア海域周辺に生息していた、「頭足類」と呼ばれる生物の1種です。
全長は10メートルとかなり大きく、殻部分の長さだけでも6メートルを越えていたと考えられています。
長く尖った円錐状の頭部からは触手がいくつも生えており、それを使って獲物を捕らえ、捕食を行っていたそうです。
しかしその巨大さゆえに体が重く、素早い移動は苦手だったため、海面近くに浮上してくることはほぼなかったのではないかと言われています。
プテリゴトゥス
プテリゴトゥスは、シルル紀からデボン紀(約4億2,000万年~3億5,000万年前)にかけて、主にヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ周辺に生息していたと考えられている生物です。
日本においては、「ウミサソリ」と呼ばれる場合もあります。
全長は50センチメートル程度となっており、平たい寝袋のような形をした胴体や、頭部から2本生えたハサミ状の角(鋏角)などが特徴です。
尾節を舵のように使って泳ぎ、鋏角を使って獲物を捕食していたと考えられています。
ちなみに学名の「プテリゴトゥス」はラテン語で「翼のある魚」を意味しており、その名の通り発見当初プテリゴトゥスは魚類だと認識されていましたが、後に魚類ではなく鋏角類だと認識が改められています。
ヘリコプリオン
ヘリコプリオンは、石炭紀後期から三畳紀前期(約3億年~2億5,000年前)にかけて生息していたサメの1種です。
全長は3~4メートルほどあり、下顎側には電気丸のこによく似た螺旋状の歯を有しています。
ヘリコプリオンの最も大きな特徴は、「一度生えた歯は抜け落ちない」という点です。
新しい歯は螺旋の先端に押し出され、古くなった歯は螺旋の内側に巻き込まれていったため、ヘリコプリオンは生まれてから生えた全ての歯を死ぬまで収めることができたそうです。
ドリアスピス
ドリアスピスは、デボン紀前期(約4億年前)にヨーロッパ周辺に生息していた魚の1種で、その時代に存在していた魚類の中では「唯一アゴのない生物」だったと言われています。
全長は約15センチメートルで、下半身は一般的な魚、上半身はカブトガニのような形状をしており、胴体には飛行機の翼のようなヒレがついているのが特徴です。
ドリアスピスの持つ最も大きな特徴は、頭部についているノコギリ状の突起です。
この突起を使って海底の砂利や泥を払いのけて、プランクトンなどの小さな生物を食べていたと考えられています。
メガネウラ
メガネウラは、石炭紀末期(約3億年前)に森に生息していたトンボの祖先です。
「メガネウラ」という学名は、古代ギリシア語で「大きな」を意味する「メガ―ス」と「神経」を意味する「ネウロン」を合わせ、「巨大な翅脈(しみゃく)を持つもの」という意図のもと命名されたそうです。
その名の通り全長は約60~75センチメートル程度だったと推測されており、古生代から現在に至るまで「史上最大の昆虫」の座に君臨しています。
メガネウラはその巨体で羽ばたくために、通常昆虫には無い肺を持っていたのではないかと言われています。
また、メガネウラが存在していた石炭紀末期は酸素濃度が低かったことから、他にも多くの巨大昆虫が生まれていた可能性が高いと考えられています。
メトポサウルス
メトポサウルスは、三畳紀後期(約2億5,000万年~2億年前)にヨーロッパ、インド、北アメリカ周辺に生息していた両生類の生物です。
全長は2~3メートルと巨大で、大きく扁平な頭部と歩行に適さない小さな四肢を持つ姿は、しばしば「サンショウウオによく似ている」と言われることが多いようです。
メトポサウルスのほとんどの個体は浅い水域に暮らし、針のように鋭い歯で魚や小動物を捕食していたと考えられています。
また、「比較的小さい個体は身軽に移動して新しい水場を転々とすることができたものの、大型の個体はあまり移動しなかったため完全な水生生物になったのではないか」とも推測されています。
ティタノボア
ティタノボアは、「暁新世(ぎょうしんせい)」と呼ばれる新生代最古の時代(約6,000万年前)に生息していたヘビの1種です。
全長は約15m、体重は1トン以上で、今日に至るまで「史上最大のヘビ」として知られています。
ティタノボアはアナコンダやボアなどのヘビの祖先だと考えられており、ワニをも飲み込むほどのパワーを持っていたそうです。
しかし変温動物ゆえに気温の変化に対応できなかったため、暖かい気候の時期にしか隆盛できず、比較的短期間で絶滅したと考えられています。
まとめ
今回は、かつて地球上に生息していた古代生物について紹介していきました。
色々な生物の存在を知ると、地球は遥か昔から生命を生み出し、それぞれの営みを見守っていたのだということが分かりますね。
ここでは紹介しきれなかった古代生物もまだまだ沢山いるので、気になった方は是非ご自身でも調べてみて下さいね。