子どもの頃は、アニメや映画に出てくる未来世界の風景に「いいなあ…」「いつかはこうなるのかなあ…」とよく思いを馳せたものですよね。
しかし時の流れとともに大人になると、次第に「実際のところアレって無理があるんじゃ…?」と疑問を抱き始めてしまうことも。
そこで、今回は著名なアニメや映画に出てくる未来描写の中でも特に「これは気になる!」というものを厳選し、「はたして実現は可能なのか?」という点について、徹底的に検証していきたいと思います。
人口太陽は実現できる?
古くは1963年版のアニメ「鉄腕アトム」や「宇宙戦士バルディオス」にも登場した人工太陽ですが、人類が誕生する何十億年も前から存在している太陽を人の手で作るなんて、「それはさすがに無謀なのでは…」と思ってしまいますよね。
しかし実は人口太陽の実用化は、今やすぐそこまで来ていると言っても過言ではありません。
とはいえ、本物の太陽と同じように宇宙空間に浮かぶ恒星が開発されるわけではなく、
あくまでも「限りなく太陽に近い仕組みを持った地上用核融合発電機=人工太陽」として、各国の研究機関にて現在進行形で開発が進められています。
2020年現在、世界ではまだまだ原子力発電を主力の発電方法としている国が多くあります。
しかし原子力発電に用いるウランとプルトニウムは人体、そして環境に悪影響を及ぼす危険性が非常に高く、過去に起きたチェルノブイリ原発事故(1986年)や福島第一原発事故(2011年)では、周辺地域や地域住民に甚大な被害をもたらしました。
その点、水素とヘリウムを用いてエネルギーを生み出す太陽を活用した太陽光発電は、
「完全なるクリーンエネルギーを用いた発電方法」と言えます。
もし原子力発電システムに代わり「人工太陽光発電システム」が普及した暁には、
環境にとっても人にとってもより良い世界を実現できるかもしれません。
先ほど「各国の研究機関が開発を進めている」と述べましたが、中でもドイツと中国の前進は目覚ましく、ドイツでは2018年3月に世界最大の人工太陽が開発され、中国では同年11月に太陽の約7倍の温度を有する人工太陽が開発されています。
そして2020年7月には、フランスにて「国際熱核融合実験炉開発計画」、別名「地上の太陽計画」が発足されました。
このプロジェクトには全部で7か国が参加しており、前述したドイツ、中国に続き日本も加わっています。
人工太陽が新しいクリーンエネルギーとして当たり前に普及している未来が来ると思うと、今から楽しみですね。
スペースコロニーは実現できる?
スペースコロニーと言えば「機動戦士ガンダムシリーズ」(以下、ガンダム)の中に登場するイメージが強いですが、実はスペースコロニーというアイデア自体は、ガンダムの第一シリーズが放映される1979年からちょうど10年前の1969年にはもう世に誕生していました。
このアイデアの提唱者は、当時アメリカのプリンストン大学で教授をしていたジェラルド・オニール博士と、彼のセミナーを受講していた学生達だったと言われています。
そのセミナーの中でスペースコロニーの定義として挙げられた主なポイントは、次のようになります。
・地球と月の引力の釣り合いが取れた「ラグランジュ・ポイント」に位置していること
・居住装置を回転させることで地球に近い重力を生み出すこと
・コロニー内部には地球にあるものと同じ植物を再現すること
地球上の人口爆発、資源減少、環境破壊が進んだ際の打開策として提唱されたスペースコロニー案は、当時の人々にとってはさぞ衝撃的だったことでしょう。
それから50年以上の時が流れ、前述したガンダムシリーズでもお馴染みの存在となったことですっかり「フィクション上の存在」のようになっていたスペースコロニー構想ですが、人々は決して実用化への夢を捨てたわけではありません。
海外では、世界最大手の通販サイト「アマゾン・ドット・コム」の最高責任者(CEO)であるジェフ・ベゾス氏がスペースコロニーの建設に意欲を示していることが分かっており、日本では2019年にJAXA、東京理科大学、清水建設が連携し、「スペースコロニーデモンストレーションモジュール」を完成させています。
このモジュールは現在、東京理科大学の野田キャンパス校舎屋上に設置されており、
「閉鎖空間における空気浄化や植物生産は可能なのか」という課題を実証する実験が行われる予定となっています。
これらの実験がもし成功すれば、私たちが地球を遠く離れたスペースコロニーで暮らせる可能性も段に上がると言えるでしょう。
ただし、もしスペースコロニーが実用化されても、ガンダムの世界のような「コロニー落とし」が起こる事態だけは避けたいものですね。
宇宙列車は実現できる?
「銀河鉄道の夜に」や「銀河鉄道999」に物語の主な舞台として登場する宇宙列車ですが、昔ながらの蒸気機関車が宇宙空間を走行する図というのは、なんともノスタルジックでロマンを感じますよね。
とはいえ「銀河鉄道999」に登場する999号は、外観こそ蒸気機関車であれ内側は完全に未来の 最先端技術が活かされた作りのように見えますし、そうでなくても実際地上で走行しているような列車を宇宙空間に持ち出すのは、まず不可能と言って良いでしょう。
他にも「列車を動かす燃料はロケットと同じで良いのか」、「そもそも駅はどうするのか」等々、宇宙列車を実現させるためにはまだまだ乗り越えるべき課題が沢山あるため、もしかすると私たちが生きている間は叶わない夢のままかもしれません。
しかし、それでも宇宙列車の実現を長年夢見ている人がいます。
その人は他でもない「銀河鉄道999」の作者である漫画家、松本零士氏です。
松本氏は「宇宙列車は夢ではない」と語り、近年でも「銀河鉄道現実化999プロジェクト」なるものを発足したりと、作品の連載が終了した今なお精力的な活動を続けています。
ガンダムは実現できる?
前提として、宇宙規模の戦争など起こらないに越したことはないのですが、それでも一度は「ガンダムに乗って操縦してみたいなあ…」と思ったことのある方は多いのではないでしょうか。
2009年には等身大のガンダム像も作られているため宇宙空間での実用化もそう遠くないような気がしてしまいますが、実際に専門家たちの間では「ガンダムの時代はもうすぐそこまで来ている」と語られているようです。
実は、日本では90年代の時点でロボットアームは開発されており、さらに現在は既に宇宙空間で可動できるロボットも開発済みだと言われています。
そこまで技術が進歩していながら、あと一歩のところでガンダムが実現しない理由はただ一つ、ずばり「重量問題」です。
設定上、初代ガンダムの重量は43.4tとなっていますが、この重さの機体を宇宙空間に運び込むのは今の技術だと至難の業だと言われています。
しかし、この課題を打開する方法がないわけではありません。
近年では宇宙空間における合体技術も進んでいるため、ガンダムを丸ごと運び込むのではなく部品を1つずつ運んだ後で組み立てるという手もあります。
いずれにせよガンダムの実現は既に夢の話ではなくなっているのですが、やはり一体作り上げるにも莫大な費用と部品が必要になるため、多くの人が一丸となって作り上げない限りは、まだまだ夢のままなのかもしれません。
しかし逆に言えば、将来ガンダムを作り上げる大々的なプロジェクトが立ち上がり多くの人が関わった時こそ、宇宙開発の歴史が大きく動く時だとも言えます。
いつかガンダムが宇宙に飛び立つ時は戦争のためではなく、多くの人々の夢を叶えるためであることを願うばかりですね。
まとめ
今回は、アニメや映画に出てくる気になる未来描写について掘り下げていきましたが、そのほとんどがいずれ本当に実現しそうなものばかりでしたね。
何より、時々このように宇宙に思いを馳せてみることは、普段よりも視野を広げる良いきっかけになるかもしれません。
今後も太陽光発電システムに限らず、様々な情報を皆さんに共有していけたら幸いです。