シンギュラリティ到来により起こる「世界の変化」とは

テクノロジー

人工知能が私たちにとって身近な存在になるにつれて、人々の間では「シンギュラリティ」に関する議論が交わされる機会も増えつつあります。
シンギュラリティとは「人工知能が人類の知能を超越する瞬間」のことを指していますが、一昔前までは「ただの都市伝説でしょ!」と一蹴されることも少なくありませんでした。
しかし、ここ数年における人工知能の進化に比例するように、シンギュラリティの存在は日に日にリアリティを増してきています。

「人工知能が人類の知能を超越する」と聞くと何とも言えない不安や恐ろしさを感じてしまいますが、シンギュラリティの到来は、私たち人類に一体どのような影響をもたらすのでしょうか?
今回はシンギュラリティの意味をさらに深掘りしつつ、「シンギュラリティが訪れた後の世界」について徹底的に予想していきましょう。

「シンギュラリティ」という概念のはじまり

シンギュラリティ(日本語では「技術特異点」の意)は、「人工知能が人類に代わって文明の進歩の中心となる転換地点」を指す、未来学上の概念となっています。
この概念自体は科学技術が脚光を浴び始めた19世紀頃には既にあったと言われていますが、当時は断片的で曖昧な概念でしかなかったそうです。

しかし21世紀を目前にした2000年頃から世界中で人工知能への関心が高まり、2005年にアメリカ屈指の発明家であり未来学者のレイ・カーツワイルが著書の中で「The Singularity is near(特異点は近い)」と記述したことをきっかけに、「シンギュラリティ」という概念は世間一般にも広く浸透していきました。

さらに2010年代、ディープラーニング(深層学習)技術やビッグデータの集積において人工知能が目覚ましい発達を遂げると、それまではメディアが面白おかしく取り上げる程度に留まっていたシンギュラリティが、より現実味を持って議論の場に上げられるようになりました。
近年ではシンギュラリティの訪れに対し、「第4次産業革命」として注目する人も増えています。

シンギュラリティが訪れるのはいつ頃?

一般的にシンギュラリティが訪れる年として広く認知されているのは、シンギュラリティ概念の第一人者であるカーツワイル氏が提唱した「2045年」です。
しかしカーツワイル氏曰く、これは2045年になって人類史上初めて汎用人工知能(※)が誕生するという意味ではなく、「2030年頃には既に誕生していた汎用人工知能が、2045年には人類の知能を上回る、もしくは人類の知能と融合する」という意味なのだと見解を示しています。

また、「シンギュラリティ=2045年」という定説以外にも、シンギュラリティの到来年を予想する説はいくつかあります。
数学者、科学者、SF作家として活動するヴァーナー・ヴィンジ氏が「シンギュラリティが到来するのは2030年より前である」と主張する一方で、スーパーコンピュータ開発者でありながら人工知能研究も行う齊藤元章氏は「シンギュラリティの到来は2030年頃だ」と主張するなど、この点に関しては有識者の間でも意見が分かれています。

※汎用人工知能…人間と同等の幅広い知能を有した人工知能。
「Artificial General Intelligence」を略して「AGI」とも呼ばれる。

シンギュラリティの訪れによる世界の変化予想

ここからは、「シンギュラリティが訪れたら世界はどう変わるのか」という点について考えていきましょう。

一部の仕事は人間ではなくAIに任されるようになる

今まで人間が担当していた仕事をコンピュータが担うようになる動きは現在も既にありますが、シンギュラリティ後はその傾向がより顕著になると考えられています。
具体的に人間から人工知能に置き換えられると予想されている職業は、以下になります。

・工場の生産ライン管理
・コンビニやスーパーのレジ
・タクシーやトラックのドライバー


このように、いわゆる「定型労働」と呼ばれる職業は、遠くない未来人工知能への代替が急速に進むと考えられています。
しかし、「人工知能を導入することで作業効率は格段に上がるだろう」と予想される一方で、「人間が関与する必要が一切なくなってしまうと、職に困る人々が世界中で増加するのではないか」といった懸念の声も上がっています。
何より「イレギュラーな事態が起きた場合、人工知能は人間のように臨機応変に対応できるのか」といった点については、まだまだ議論の余地があると言えるでしょう。

ベーシックインカムの導入率が上がる

シンギュラリティの到来後は、ベーシックインカム制度の導入が世界中で進むのではないかと予想されています。

ベーシックインカムとは最低限所得保証の一種で、全ての国民に対し政府が一定額の給付金を定期的に支払う政策のことを指します。
前述したようにシンギュラリティの到来後は雇用問題が発生する可能性が高いため、「ベーシックインカムの導入はいずれにせよ避けられないのではないか」と有識者の多くは考えています。

ベーシックインカムを導入することで、人々は不本意な労働に追われることなく多様なライフスタイルを追求することができると考えられていますが、その一方で莫大な財源の確保や就労者数の低下抑制対策など、様々な難しい課題を抱えることにもなる可能性も懸念されています。

人体の一部を人工化(コンピュータ化)する動きが始まる

シンギュラリティが加速すると、人の脳や臓器などをそっくりそのままコピーする技術が生まれ、人体の一部を人工化することも可能になるのではないかと言われています。
ハリウッドで映画化もされた「攻殻機動隊」という漫画・アニメ作品には、体の一部をバイオネットワーク技術によって「電脳化」した人々が多数出てきますが、その光景がフィクションでなくなる瞬間は意外と遠くないのかもしれません。

シンギュラリティ実現を裏付ける2つの法則

ここまでは、「シンギュラリティ概念のはじまり」から「シンギュラリティが到来した場合に起こり得る現象」などについて見ていきましたが、それでもなお「シンギュラリティの到来を裏付ける証拠はあるの?」と疑問に思ってしまう部分があるのも事実です。
そこで、この章ではシンギュラリティの実現可能性を裏付ける2つの法則について見ていきましょう。

ムーアの法則

ムーアの法則は、世界最大手の半導体メーカー「Intel(インテル)」創設者の一人であるゴードン・ムーア氏が1965年に提唱した「半導体の集積率は18ヶ月から24ヶ月で2倍になる」という法則です。
この法則が有効という前提で考えると、半導体の性能は指数関数的に向上していくため、近い将来にコンピュータが人類を超越する存在となる時代はおのずとやって来ると言えます。

しかし、近年このムーアの法則には限界説が唱えられています。
というのも、現在の半導体製造には「ナノテクノロジー」という技術が駆使されており、このナノテクノロジーを使うと半導体は原子サイズにまで微細化します。
原子サイズまで来るとそれ以上の微細化は難しく、そうなるとムーアの法則に従うのは物理的に難しいのではないか、と一部の有識者からは指摘されています。

収穫加速の法則

限界説が唱えられ、提唱者のムーア氏自身も2005年に「長くは続かないだろう」と発言していたムーアの法則ですが、その後ムーアの法則の継承者とも言える新たな法則が生み出されます。
それこそが、シンギュラリティ概念の第一人者であるカーツワイル氏が唱えた「収穫加速の法則」です。

まず「ムーアの法則は半導体に限らず、幅広いテクノロジーに応用して思考を広げることができる」と考えたカーツワイル氏は、さらに範囲を広げて「ムーアの法則はすべての進化プロセスに適用可能」だと考え、そこから収穫加速の法則が生み出されました。 収穫加速の法則において、カールワイツ氏は以下のように説いています。

・テクノロジーの分野では、ある能力が生み出されると、その能力は次なる新たな能力の創造スピードを加速させる(収穫加速)
・収穫加速がそのまま進んでいくと、シンギュラリティは実現する


これらの法則による裏付けにより、シンギュラリティの実現可能性は一定の根拠をもって提唱されています。

まとめ

今回は、いずれ起こるとされているシンギュラリティについて掘り下げていきましたが、現時点では「シンギュラリティは訪れない」と考える「シンギュラリティ否定派」もまだまだ少なくありません。
まだまだ未知な部分も多いシンギュラリティは、今後も様々な角度から議論が交わされていくと考えられるので、引き続き注目していきたいですね。

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