2021年9月20日、アメリカ・ニューヨークで開催された国連総会の場で、韓国発の7人組男性アイドルグループ「BTS」が演説を行いました。
演説では、新型コロナウイルスの感染拡大により世界中が苦悩に包まれたことのほかに、気候変動対策や環境保護をはじめとしたSDGs実現の重要性も語られました。
BTSのような世界的に人気のあるグループがこれらの事柄に言及したことは、多くの人々にSDGsに関心を持つきっかけを与えると話題になりました。
BTSだけでなく、世界では今K-POPそのものが高い支持を得ており、またBTS以外にも多くのK-POPアイドルがSDGsの重要性を発信しています。
また、そのようなアイドルのファン達によるSDGs活動も行われています。
若者世代におけるSDGsへの関心度の高さには、彼らの活動が大きな影響を与えていると言っても過言ではないでしょう。
そこで今回は、SDGsの重要性を発信し、実際に取り組んでいるK-POPアイドル達と、彼らのファン達によるSDGs活動についてチェックしていきましょう。
BTS
冒頭でも紹介した通り、BTSは韓国に留まらず世界の最先端シーンで活躍するグループです。
デビューから8年目の2021年時点で、そのファンダム(ポップカルチャーやスポーツなどの熱狂的なファンにより形成された大きな集団)の規模は計り知れないほど巨大となっています。
その影響力の大きさを活かし、彼らは今までアイドル活動と並行して数々の社会貢献活動を行ってきました。
2017年11月には韓国ユニセフ協会とBTS、そしてBTSの所属事務所であるBig Hit Entertainment社(現HYBE)が、彼らによる「LOVE MYSELF(私自身をまず愛そう)」キャンペーンを通じて、子供及び青少年への暴力撲滅を目指す「ENDviolence(暴力をなくそう)」キャンペーンをサポートするパートナーシップを締結しました。
翌年2018年4月には、日本でも同様のキャンペーンをスタートさせました。
2021年10月5日にユニセフが発表した報告書によると、この活動によって集まった支援金は360万ドル(日本円約4億1,000万円)に達しており、「LOVE MYSELF」のツイート数は約500万回、それに対するエンゲージメント(リツイート・いいね・返信・コメント)数は5000万回以上に達しています。
また、彼らは韓国の大手自動車メーカー「ヒョンデ(旧ヒュンダイ)」のイメージキャラクターを務めています。
ヒョンデはかねてより持続可能性の高いエネルギーとして水素を支持しており、2028年までに全商用車に水素燃料電池モデルを投入することを目指しています。
その目標達成に向けた取り組みを進めるため、ヒュンデは2020年よりBTSとともに「Because of You」というスローガンの下、環境に優しい「未来のクリーンエネルギー水素」の持続可能性を伝えるグローバル水素キャンペーンを行っています。
キャンペーンの一環として、2021年4月22日のアースデーにヒョンデが人々の気候変動への関心を高めるために企画した「#Darkselfiechallenge(ダークセルフィチャレンジ)」には、BTSメンバー全員が参加しました。
また「世界環境デー」である2021年6月5日には、BTSが出演する水素エネルギーをテーマにしたドキュメンタリーがヒュンデの公式YouTubeチャンネルにて公開されました。
他にも、BTSのリーダーであるRMは廃材や廃車からファッション小物を作る韓国ブランド「CONTINEW」のバックパックをプライベートで愛用するなど、普段からSDGsへの関心が高い点が支持されています。
BLACKPINK
BLACKPINKは、アジアやアメリカを中心に世界的な人気を誇る4人組女性アイドルグループです。
2020年12月、BLACKPINKは、イギリスで2021年11月に開催される「第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)」に向けて駐韓英国大使館と協力し、気候変動対策や環境保護の重要性について発信する動画をYoutubeに公開しました。
毎年、猛暑や干ばつ、洪水など異常気象の発生が増加していることに触れ、「専門家ではないので全ての問題を認識することはできないが、大切な地球のために気候変動についてもっと学びたい」「一人一人の行動が変化をもたらします」「今こそ行動すべき時だ」と呼びかけました。
この動画は、公開から約2ヶ月の間にすべてのソーシャルプラットフォームで1,000万回以上再生され、大きな反響を呼びました。 この影響力が評価され、BLACK PINKは正式にCOP11の広報大使に任命されました。
JYPエンターテインメント(芸能プロダクション)
JYPエンターテインメントは、TWICEやNiziUなどの人気アイドルグループを多数抱える韓国の大手芸能プロダクションです。
そんなJYPエンターテインメントは、「世界の全ての夢が大切だ」をテーマに掲げ、恵まれない子どもたちや環境保全に向けたさまざまな社会活動を行なっては、その様子をSNSで発信しています。
たとえば、TWICEのメンバーであるモモは「地球のための小さな実践」というコメントを付けて、愛犬とタンブラーの写真をインスタグラムにアップしています。
これはJYPが実施する、「タンブラーを使って、使い捨て容器の使用頻度を減らそう」という「#loveearthchallenge(ラブアースチャレンジ)」プロジェクトの一環で、TWICEモモの他にもITZYのイェジ、Stray Kidsのスンミンなど、多くのJYP所属アーティストがこのプロジェクトに参加しています。
多数のK-POPアイドルが参加した気候変動キャンペーン「Kstars 4 climate」
「Kstars 4 climate」は、2021年4月22日の「アースデー(地球の日)」に合わせて、駐韓英国大使館と気候メディア「Hub」が企画した気候変動キャンペーンです。
この活動にはBTOB、ATEEZ、OH MY GIRL、Weekly、Day6、AB6IX、THE BOYZなど、国内外に人気を誇る数多くのK-POPアイドルグループが参加しました。
Kstars 4 climateの公式インスタグラムには、参加アイドルたちが「気候変化は……」と書かれたTシャツに「私たちみんなの問題」「ブーメラン(として私たちに返ってくる)」「力を合わせれば解決できる!」などそれぞれの想いを書き込み、最近感じた気候の変化や、これから実践したいことなど、それぞれの視点で話し合った様子がアップされています。
K-POPのファン達による「K-POP 4 PLANET」とは?
K-POPアイドルカルチャーにおいて、各グループの「ファンダム」は欠かせない存在です。
前述した通り、ファンダムとは「ポップカルチャーやスポーツなどの熱狂的なファンにより形成される大きな集団」のことです。
中でもK-POPアイドルのファンダムの持つ自主性は強く、たとえば応援するグループのデビュー記念日やメンバーの誕生日には、所属事務所ではなくファン達の行動によって、韓国内の地下鉄、バス停、商業施設などの至る所に広告看板が設置されます。
また、社会活動に熱心なことで知られているアイドルのファン達は、「自分たちも彼/彼女の志を見習いたい」という思いから、SNSなどで募金活動を行うなど、同じように社会活動に取り組む例もあります。
2021年3月3日にリリースされた「K-POP 4 PLANET」もまた、そんなK-POPアイドルのファンダムによってつくられた環境活動を行うためのプラットフォームです。
K-POP 4 PLANETは、ファンダムの熱狂的な力を地球にとって良い方向へ活かすため、気候変動や環境保護について発信し、ファンたちが連帯して行動するためのプラットフォームです。
「私たちがK-POPを楽しむ最後の世代にならないように」をテーマに、気候変動対策のために行動するファン、アイドル、エンターテインメントが連帯し、持続可能なK-POP文化を目指して立ち上げられました。
リリースにあたっては、すでに国連グローバル・コンパクト(UNGC)韓国協会から公式支援を受けており、これからの活動に全世界が注目しています。
まとめ
ステージ上で歌って踊り、熱狂的な支持を集めるK-POPアイドル達の影響力は、いまやSDGsを推し進める大きな力の一つとなっています。
今後も彼/彼女らのアイドルとしての活動、そしてSDGs活動の両方から目が離せませんね!