もし「太陽の絵を描いてください」と言われたら、皆さんは一体何色のペンを使って太陽の色を表現しますか?
ほとんどの方は赤、または濃いオレンジで描かれるかもしれませんが、実は太陽をこれらの色で描く日本は、世界的に見ても珍しいと言われています。
では、何故日本には「太陽=赤色」というイメージが浸透しているのでしょうか?
そして他の国で生まれ育った人々は、一体どのような色で太陽を描くのでしょうか?
そういった疑問を持つことは、日本ひいては世界への理解を深める貴重な第一歩となります。
未知なる文化への理解を深めるためにも、今回は国によって異なる太陽の色彩イメージと、その理由を細かく掘り下げていきたいと思います。
太陽の色イメージが国ごとに違う科学的な理由
赤道との距離
まず前提として、太陽は国の位置によって若干色の見え方が変わってくると言われています。
赤道付近の国では太陽は赤みが強いように見え、反対に赤道から遠い国では青みが強いように見えるというのが一般的です。
また同じ国の中でも、寒い地方と暑い地方では後者の方が太陽は赤みを帯びて見えると言われています。
北国では繊細な寒色系、南国では力強い極彩色系のアート作品が生まれやすいのも、赤道との距離が関係しているのかもしれませんね。
瞳の色
太陽の見え方の違いは、人種による瞳の色の違いも関係しています。
アジア人の瞳は黒や茶色である場合がほとんどですが、これは瞳に多くのメラニン色素が含まれているからであり、メラニン色素が多ければ多いほど紫外線から瞳に受けるダメージも軽減されると言われています。
一方でコーカソイド(白人系)の人に多いブルーの瞳は含んでいるメラニン色素が少ないため、アジア人に比べて太陽光を眩しいと感じやすいそうです。
受け取る眩しさが違うと感じ取る色も変わってくるため、これもまた国や地域ごとに太陽の色彩イメージが異なる理由の1つだと言えるでしょう。
しかし、アジアの中でもなぜ日本はとりわけ太陽を赤々しく表現するのでしょうか?
気になるその点については、次の章から詳しく見ていきましょう。
日本における太陽の色彩イメージが「赤」な理由
日の丸(国旗)のイメージが強い
古来より日本では自然崇拝の意識が強く、太陽もまた農耕や漁労を司る信仰対象の1つとして崇められていました。
日本神話に登場し皇祖神とされている天照大神も、太陽神としての側面を持っていることから、古代の人々にとって太陽がどれだけ偉大な存在だったのかということが分かりますね。
飛鳥時代に名付けられた「日本」という国号も、日の出(太陽)を意識して考えられたとされています。
そして太陽を象った旗が政変や戦の場において用いられるようになったのは、645年の「大化の改新」以後だと言われていますが、この当時の日の丸は赤ではなく金や銀で書かれることが多かったと言われています。
その後、どのような経緯をもって「白地に赤丸」というデザインが浸透したのかははっきり分かっていませんが、江戸時代には既に意匠の1つとして絵巻物に描かれたり、徳川幕府の公用旗に起用されたりと、すっかり「白地に赤丸」デザインが浸透していたそうです。
そして1854年(嘉永7年)、日本船と外国船を見分けるために幕府が日の丸を船舶旗のデザインに起用したことが、日本国旗としての始まりだと言われています。
このような歴史を知ると、日本に「太陽の色=日の丸の色(赤)」というイメージが強く根付いていることにも納得がいきますね。
日本独特の色彩感覚や言語感覚
緑色の信号機を「青」、美しく艶のある黒髪を「緑の黒髪」と表現するように、日本にはかねてより独特の色彩感覚および言語感覚が根付いています。
上記の2つは日本で生まれ育った人ならすんなり受け取ることができますが、海外で生まれ育った人からすれば「どうしてわざわざ青い信号を緑って言うの?」「黒髪なのに緑って意味が分からない!」と戸惑ってしまうことが多いようです。
このような意識や感覚の違いには、一説によると「日本には713種類の伝統色(和色)がある」ということが関係しているそうです。
713種類もあるため、「青系」と一口に言ってもその中には限りなく緑に近い青も含まれていれば、「黒系」には限りなく黒に近い緑も含まれていたりします。
日本で生まれ育った場合は幼い頃からそういった色彩感覚に自然と触れ、潜在的に色の振り幅にも寛容になっていることから、「太陽=赤い」という感覚にもさほど違和感を覚えない方が多いと言えるのではないでしょうか。
また「昭和の歌姫」として名高い美空ひばりが歌う曲に「真っ赤な太陽」というタイトルのものがあるように、創作の分野においても赤い太陽というのは昔も今も「真夏」や「情熱」などの比喩表現として用いられることが多くあるのも理由の1つでしょう。
日本における「太陽=赤」というイメージが根付いた背景には科学的な根拠よりも、長い年月をかけて育まれていった独自文化の存在が大きくあるのかもしれません。
諸外国における太陽の色彩事情
アメリカ・ヨーロッパの場合
アメリカやヨーロッパでは、太陽は赤ではなく黄色、オレンジ、金色のいずれかの色で
描かれることが多いそうです。
これには1章で述べたような理由の他に、西洋圏では見たままを描く「写実的な思考」が強い傾向にあるからではないかと言われています。
たしかに実際の太陽光の色は白または黄色に近いため、アメリカやヨーロッパで生まれ育った人からすれば、赤で太陽を表現する日本文化の方が不思議に感じることでしょう。
アジアの場合
同じアジアといっても日本のように太陽を赤で表現する国は少数派となっており、中国、韓国ではアメリカやヨーロッパと同じく黄色やオレンジで表現されることが多いとされています。
しかし一方で東南アジアに位置するタイでは、日本と同様に太陽を赤で描くこともあるそうです。
これは、気候も文化もすべてが異なっているように思えるタイと日本の意外な共通点だと言えるでしょう。
なぜタイに太陽を赤く描く文化があるのかははっきりと分かっていませんが、タイにもまた知られざる歴史があり、その中で根付いていった感覚があるのかもしれませんね。
<おまけ>太陽だけじゃない!国にとって異なる虹の色
太陽に限らず、虹も国によって色彩の捉え方は様々なようです。
日本では虹は「赤」「橙」「黄」「緑」「青」「藍」「紫」の7色で構成されているというのが一般的な考え方となっており、韓国やオランダでも同様の認識となっています。
一方でアメリカやイギリスでは、「藍」を抜いた6色が代表的な虹の色だとされています。
さらにドイツや中国では5色、ロシアや東南アジア諸国では4色、南アジアやアフリカの村では2色と、虹の色に対する認識には太陽の色以上の振り幅があることが分かっています。
「虹が7色というのは必ずしも世界の共通認識ではない」という事実は、日本で生まれ育った人々にとっては中々衝撃的なのではないでしょうか。
まとめ
日本で太陽を赤く描く理由について、なんとなく理解を深めることができたでしょうか? 今まで「当たり前」だと思っていたようなことでも掘り下げてみると、意外な気付きや驚くべき発見があるということが分かりまね。
そして文化の違いこそあれど、どの国に住む人にとっても太陽は普遍的かつ尊い存在だということも分かりましたね。
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