当コラムでは今まで度々環境問題をテーマにした記事をシェアしてきましたが、どれだけの情報を得たとしても、やはり環境問題を身近に感じるというのは中々簡単ではありません。
しかし、「もし私たちが昔から親しんできた日本の美しい自然が失われたら」と想像すれば、今よりもう少し具体的に地球環境について考えることが出来るのではないでしょうか。
そのためにも、今回は日本各地の絶景スポットを10か所に絞って紹介したいと思います。
ウィズコロナのこのご時世では遠出するのも中々難しいので、当記事を読んだ方が少しでも旅行気分を味わえれば幸いです。
知床半島(北海道)
オホーツク海と根室海峡に挟まれた知床は、自然豊かな北海道の中でも随一の景観を誇っています。
原生林が生い茂り、ヒグマやエゾシカなどの野生生物が生息する大自然は世界的にも評価され、2005年には世界遺産の1つに登録されています。
ちなみに知床という地名は、アイヌ語で「地山の先」を意味する「シリ・エトク」または「シリ・エトコ」から来ているそうです。
知床を代表する景勝地として有名な「知床五湖」、四季折々の表情を見せる「知床峠」、そして天然温泉としても活用されている「カムイワッカ湯の滝」など、知床は様々な自然によって成り立っています。
その神秘的で壮大な景観は、見た者に畏怖の念すら抱かせると言われています。
龍泉洞(岩手県)
龍泉洞は、「本州一面積の広い町」として有名な岩手県岩泉町にある鍾乳洞で、別名「岩泉湧窟(いわいずみわっくつ)」とも呼ばれています。
山口県の秋芳洞、高知県の龍河洞と合わせた、「日本三大鍾乳洞」としても知られています。
龍泉洞は洞窟内の高低差が250m近くある点や、名水百選にも選ばれた澄んだ水をたたえた地底湖がある点が特徴です。
地底湖は2011年の東日本大震災の影響で沈殿物が浮き上がり一時は濁りましたが、その後無事透明度を取り戻しています。
その幻想的で神秘的な魅力により、近年では絶景スポットとしてだけではなく、パワースポットとしても人気を集めています。
蔵王連峰(宮城県・山形県)
蔵王連峰は、奥羽山脈において度々発生した火山活動により形成された火山群であり、宮城県と山形県のちょうど県境に位置しています。
主峰である熊野岳、刈田岳、屏風岳の3山と、その他の14山を合わせた計17山で構成されています。
蔵王連峰の山々は季節ごとに様々な表情を見せてくれますが、中でも有名なのが冬に現れる樹氷です。
別名「スノーモンスター」とも呼ばれる樹氷は、その名の通り怪物のようなユニークな形をしています。
まさに冬の風物詩とも言える樹氷は毎冬多くの人々を魅了しており、近年では海外から樹氷目当てで訪れる観光客も増えているそうです。
上高地(長野県)
上高地は、飛騨山脈南部に位置する標高約1500mの景勝地です。
手つかずの雄大な大自然が広がっており、国の文化財として「特別名勝」と「特別天然記念物」の2つの称号が与えられています。
ちなみに現時点でこれらの称号が2つとも与えられているのは、上高地と富山県の黒部峡谷のみとなっています。
上高地を象徴するシンボルとして有名な「河童橋」、ひょうたんの形をした「明神池」、上高地の中でもひときわ深い自然が織りなす絶景をたたえた「徳沢」など、見所が多くある点が人気を博しています。
富士山(山梨県・静岡県)
山梨県と静岡県に跨る日本最高峰の活火山である富士山は、日本を代表する絶景だと言っても過言ではありません。
富士山は日本における気候や地層状況に大きな影響を与えているだけではなく、その唯一無二の存在感と風貌によって、古くから様々な芸術作品や文学作品の題材としても扱われてきました。
中でも江戸時代の画家である葛飾北斎が描いた「富嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)」は、非常に有名な作品として世界的にも知られています。
1952年には特別名勝に指定され、2013年には世界遺産にも登録されています。
小笠原諸島(東京都)
小笠原諸島は、東京都心から1000kmほど離れた太平洋上にある30余りの島々からなっています。
「東洋のガラパゴス」という別名の通り、独自の生態系のもとに進化した様々な動植物が生息しています。
また青く透き通った美しい海は通称「ボニンブルー」と呼ばれ、多くの人々を魅了しています。
そのような点が国際的に評価され、小笠原諸島は2011年には世界自然遺産に登録されています。 ちなみに手つかずの自然を保護するため、小笠原諸島の中で人が立ち入れるのは、母島と父島の2つのみとなっています。
また小笠原諸島には飛行場がなく、島へ行くためには週に一度だけ運航している「おがさわら丸」に24時間揺られる必要があります。
そのため行くまでの道のりが中々大変そうではありますが、いざ小笠原諸島に到着した暁には、24時間分以上の価値のある雄大な自然を目の当たりにすることができるでしょう。
江川海岸(千葉県)
千葉県木更津市にある江川海岸は、元々は潮干狩り場として知られていましたが、近年ではSNSを中心に「日本のウユニ塩湖」として話題を集めています。
ウユニ塩湖とはボリビア西部にある塩原のことで、雨季になると大地に薄い水の膜を張り、鏡のように空を映し出しだす姿が「天空の鏡」のようだと言われています。
江川海岸は満潮時になるとウユニ塩湖のように海面に空を映し出すことから、「ウユニまで行くより手軽に神秘的な絶景が見られる!」と一躍人気スポットになりました。
しかしあまりにも話題となり過ぎた結果、危険な場所に立ち入って写真撮影をする、ゴミを捨てるなどの違反行為を行う観光客が増えてしまったため、現在では海岸周辺のいくつかの場所は立ち入り禁止区域となっています。
江川海岸に限らず、近年ではSNS映えばかり意識して自然環境に配慮しない人が増加している点が懸念されています。
この問題に関しては、後日別のコラム内にてしっかり追究したいと思います。
渡良瀬遊水地(栃木県)
渡良瀬遊水地は、明治時代初期に起こった足尾銅山鉱毒事件による鉱毒を沈殿させて無害化させるべく、渡良瀬川下流に作られた遊水地です。
遊水地としては日本最大規模であるとともに、本州以南最大の湿地であることから、2012年にはラムサール条約(※)の登録湿地となっています。
渡良瀬川周辺に元から存在していた広大な自然を活かして作られており、様々な動植物が生息していることから、「生きている自然博物館」とも呼ばれています。
※ラムサール条約…1971年にイランのラムサールで採択された国際条約。
正式には「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」と意味づけられている。
百合ヶ浜(鹿児島県)
百合ヶ浜は、鹿児島県の与論島内にある真っ白な砂浜です。
春から夏にかけての干潮時にのみ姿を現すため「幻の砂浜」と言われており、「百合ヶ浜で年齢の数だけ星の形をした砂を拾った人は幸せになれる」という伝説もあります。
斎場御嶽(沖縄県)
斎場御嶽(せーふぁーうたき)は沖縄県南城市にある史跡です。
琉球王国時代には国家にとって重要な祭事が行われる場所だったため、「琉球王国最大の聖地」とも呼ばれており、世界遺産にも登録されています。
様々な草木に囲まれた静かな空間は、訪れた人に荘厳で神秘的な印象を与えてくれます。
まとめ
今回は国内の絶景スポット10ヶ所を紹介していきましたが、まだまだ日本には美しく豊かな自然をたたえたスポットが沢山あります。
それらすべてが環境破壊によって失われないためには、私たち一人一人が日ごろから少しだけでも環境問題に意識を向けることが必要だと言えるでしょう。
そのきっかけづくりをするためにも、当コラムは今後も環境問題にまつわる様々なテーマを扱っていきたいと思います。
そしてコロナが落ち着いた暁にはどこかの絶景スポットに直接足を運んで、大自然を全身で感じてみたいものですよね。
その時が早く訪れることを待ちながら、今は引き続き感染対策をしっかり行っていきましょう。