近年、テレビやラジオなどでも取り上げられることの多くなっている「サスティナビリティ」もしくは「サスティナブル」という言葉をご存知でしょうか?
もしかすると、「耳にすることはよくあるけど、正直何のことを言っているのかよく分からない…」と思っている人も、まだまだ沢山いるかもしれません。
では一体何故、この言葉あるいは考え方が急速に広まっているのでしょうか?
その理由を知るためにも、今回はサスティナビリティの定義から世の中に浸透するまでの流れ、そして実際にサスティナビリティを意識している企業や、その取り組みについて見ていきたいと思います。
サスティナビリティのキホン情報
まずは意味を知ろう
サスティナビリティ(sustainability)とは日本語に訳すと「持続可能性」を意味し、一般的には「人間活動や自然環境が多様性と生産性を失うことなく、長期的に継続できる能力」の全般に対する概念のことを指します。
元々は、環境問題や資源開発において用いられる概念とされていましたが、近年ではその2つに限らず、様々なビジネスシーンにおいても多用されるようになってきています。
そしてその影響により、今日ではサスティナビリティから派生した「企業の社会的責任(corporate social responsibility)」、通称「CSR」という考え方も徐々に普及しつつあります。 日本の各企業による具体的な取り組みについては、後程詳しく述べていきます。
いつから注目されているの?
サスティナビリティという概念自体が生まれたのは意外にも古く、今から30年以上前の1987年に開催された「環境と開発に関する世界委員会」で公表された報告書内において、「持続可能な開発」が中心的な課題として取り上げられたのが始まりだとされています。
それ以降、1992年の「地球サミット」や1992年の「国連環境開発特別総会」においてもサスティナビリティが重要視されるようになり、2002年にはサスティナビリティに重点を置いて議論するための「持続可能な開発に関する世界首脳会議」、通称「ヨハネスブルクサミット」が開催されます。
このサミットは、21世紀の始まりを飾るに相応しい大規模な会議になったと言われています。
トレンドとしてのサスティナビリティが流行り始めたのはここ2、3年ですが、こと国際機関やそこに従事する有識者たちにとっては、サスティナビリティは数十年前から一貫して取り組むべき普遍的な課題なのかもしれませんね。
サスティナビリティ実現のために重要な「3つの観点」とは
前述したように、サスティナビリティは当初環境問題や資源開発に重きを置いて考えられていましたが、現在では主に3つの観点から考えられることが多くなっています。
その3つとは、以下になります。
➀環境・資源
伐採により減少する森林、鉱物資源、海洋環境、気候、野生生物の多様性などを守り、持続させることについて議論が続けられています。
②人間社会
教育格差、ジェンダー差別、難民などの問題を解決し、多様性のある未来を作ることついて関心が寄せられています。
③経済
労働環境格差、貧富の格差、不十分な社会保障を見直し、世界中の人々が恒久的に安定した暮らしを送るための解決策について考えられています。
近年急速に浸透した理由とは
背景にあるSDGsの存在
サスティナビリティという概念の認知度を一気に引き上げたのが、2015年に国連サミットで採択されたSDGsです。
SDGs(Sustainable Development Goals)とは「持続可能な開発目標」のことを意味し、文字通り持続可能性を取り入れながら、環境破壊や貧困などのあらゆる国際問題を解決しようとする考え方です。
ここまで書けば、SDGsを進めるにおいてサスティナビリティの概念がどれだけ必要不可欠な存在かということがお分かりいただけるでしょう。
SDGsに関する詳しい情報や主な取り組みについては後日アップする別コラムにて詳しく述べたいと思いますので、興味のある方は是非合わせて読んでみて下さいね。
影響力のある著名人たちの取り組み
サスティナブルな意識が世界的に浸透した大きな理由の1つには、ワールドクラスのセレブ達による取り組みの存在も挙げられます。
ここでは、その中でも代表的な3人をご紹介していきたいと思います。
エマ・ワトソン
エマ・ワトソンは、ハリウッドセレブきってのサスティナブルなファッションリーダーとして有名です。
普段着に限らずオフィシャルな場で着用するドレスにおいても、彼女が身に着けているアイテムのほとんどはオーガニックな方法で生産されていたり、生産の過程で余った生地が使用されたりしています。
また、「一度着た衣装は二度は着ない」というセレブも多い中、エマ・ワトソンは敢えて同じ衣装を着回すことで、繰り返し着用することの大切さを訴えています。
メーガン妃
環境保全意識が高いことで知られているメーガン妃も、積極的にサスティナブルファッションを取り入れていることで知られています。
かねてより彼女が着用したアイテムはすぐに完売してしまうと言われており、人々はこの現象を「メーガン効果」と呼んでいました。
メーガン妃自身もその影響力を自覚した上で、性被害や貧困に苦しむ女性たちを縫製師として雇っているブランド「アウトランドデニム」のジーンズや、環境へ与える負荷を開示しているブランド「リフォーメーション」のドレスを意識的に着用することで、サスティナブルファッションの普及を後押ししています。
ヴィクトリア・ベッカム
自身が立ち上げたブランドでデザイナーとしても活躍するヴィクトリア・ベッカムですが、彼女はブランドの設立当初から一貫してリアルファーを使用しないことを主張しています。
また2019年にはエキゾチックレザー(ワニ、トカゲ。象などの珍しい柄を持つ皮)を使用しないことも発表し、年々サスティナブルなファッション活動の幅を広げています。
サスティナビリティに取り組む日本企業
近年ではサスティナブルな取り組みを行う企業が増えていると前述しましたが、それは日本企業も例外ではありません。
この章では、数あるサスティナブルな意識を持つ日本企業の中から代表的な2社をピックアップし、その取り組みをご紹介していきたいと思います。
トヨタ自動車
トヨタ自動車は2019年に「サスティナビリティ推進室」を設立し、それ以降SDGs及びESG(環境、社会、ガバナンスの意)へ本格的に取り組むための体制づくりを進めています。
さらに2020年5月に開かれた決算説明会では、豊田社長自ら「今後は今まで以上にSDGsに本気で取り組む」ということを宣言しています。
具体的には、「非常用電源にもなる自動車の開発及び普及」「CO2排出量ゼロ」などを主な取り組みや目標として掲げています。
ユニクロ
ユニクロでは店舗で回収した衣類をリユースし、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や世界各国のNGO、NPOと協力して被災地や難民キャンプへ衣類を届ける活動を行っています。
また、リユースが難しい衣類は加工し、防音材や燃料としてリサイクルしています。
さらに近年では新しい取り組みとして、廃棄されたダウンやフェザーを最新アイテムに生まれ変わらせる「服から服へのリサイクル」プロジェクトも推進しています。
まとめ
サスティナビリティについて詳しく見ていきましたが、当コラムを読む前に比べ、少しでもサスティナビリティについてご理解いただけたでしょうか?
そして、今回は主にセレブや企業における取り組みに注目しましたが、「自分は有名じゃないし、企業レベルの取り組みもできないなあ…」と思う必要は全くありません。
何故ならサスティナビリティな意識を持つことは決して難しいことではなく、大切なのは個人個人が少しでも意識することで、サスティナビリティの意識を広めていくことだからです。
当社も一企業としてだけではなく、スタッフ一人一人がサステナビリティへの理解を深めていけるよう今後も努力していきたいと思います。