RE100、EP100、EV100、RE Action…気候変動対策のための環境イニシアチブ

エコな取り組み

SDGsや脱炭素化など、今や環境改善は世界中が一丸となって推し進めるべき課題となっています。
そんな中、近年注目されているのが、RE100をはじめとした「気候変動対策に向けた環境イニシアチブ」です。
これらのイニシアチブはまだまだ一般的な知名度が高いとは言えず、「名前は聞いたことあるけれど、実際どんな取り組みをしているのか分からない」という人が多いのが現状です。

しかし、気候変動対策は一部の人だけではなく、今や地球上に暮らす一人一人が意識すべき課題だと言っても過言ではありません。
たとえ環境イニシアチブに直接関わることが無くとも、さまざまな環境問題についてより深く考えるためには、その概要を知っておいて損はないでしょう。

そこで今回は、RE100をはじめとした国際的な環境イニシアチブや、日本独自の環境イニシアチブである「再エネ100宣言 RE Action」について解説していきます。

RE100

概要と目的

RE100は、事業活動によって生じる環境負荷を減らすことを目的として設立された国際企業イニシアチブです。
「Renewable(再生可能)Energy 100%」の頭文字を取って RE100と名付けられており、事業運営に必要なエネルギーの100%を再生可能エネルギーで賄うことを目標としています。

RE100は、イギリスを拠点に活動する国際環境NGOの「クライメイト・グループ(TCG)」が2014年に創設し、2021年9月現在は世界中から500社以上が加盟しています。
2050年までに加盟企業の再エネ調達率を100%にし、パリ協定の達成を実現するために推し進められています。

加盟条件

RE100に加盟するには、以下の条件を満たす必要があります。

・国内外において高い知名度と信頼を得ていること
・フォーチュン1000(※)にランクインしている・あるいはそれと同等の主要な多国籍企業であること
・電力消費量が100GWh(日本企業は10GWh)以上あること
・RE100の目的達成に貢献できる国際的かつ地域的な影響力があること


上記の中でもとりわけ重視されるのが、電力消費量の項目です。
なお、条件を満たしてRE100に加盟する場合は費用が発生し、ベーシック会員には3,500ドル(日本円で約39万円)、イベント登壇などの特典が用意されたゴールド会員には15,000ドル(日本円で約167万円)が設定されています。

これらの加盟条件から分かる通り、RE100は影響力のある国際的な大企業でなければ加盟することはできません。
そのため日本では、中小企業でも加盟できるRE100に類似した枠組みである「再エネ100宣言RE Action」が発足されました。
RE Actionについては、後程詳しく解説していきます。

※フォーチュン1000…アメリカのビジネス誌「フォーチュン」がまとめた、収益でランク付けされたアメリカの1000大企業の年次リスト。

加盟企業例

RE100には、次のような企業が加盟しています。

・アップル(アメリカ)
・アストラゼネカ(イギリス)
・イケア(スウェーデン)
・H&M(アメリカ)
・グーグル(アメリカ)
・ゼネラルモーターズ(アメリカ)
・BMW(ドイツ)
・マイクロソフト(アメリカ)
・レゴ(デンマーク)
・ロクシタン(フランス)

ここで挙げたのはほんの一部ですが、これだけでも世界中の名だたる企業が参加していることが分かりますね。

ちなみに日本からは、2021年9月時点で56社がRE100に加盟しています。
加盟企業の一例は、次の通りです。

・イオン
・アスクル
・富士通
・パナソニック
・楽天
・味の素
・住友林業
・TOTO
・花王
・ワタミ

イオンは国内イオンモール全店の電力を2025年までに100%再エネに移行する目標を掲げたり、富士通は国内最大規模の拠点である川崎工場で使う電力を2021年4月より100%再エネに切り替えたりするなど、各企業さまざまな形でRE100の目標達成に取り組んでいます。

RE100に類似する環境イニシアチブ

EP100

EP100は「100% Energy Productivity(エネルギー生産性)」の略称で、2030年までに事業のエネルギー効率を倍増すること(省エネ効率を50%改善など)を目標とし、2016年に設立した国際企業イニシアチブです。
エネルギー効率の高い技術を導入し、経済生産性を向上させることで、企業はエネルギーコストの削減だけでなく、競争力強化、排出削減、雇用創出、エネルギー安全保障の改善などの恩恵を受けることができます。

EP100はRE100を設立したクライメイト・グループが、「エネルギー節約同盟(Alliance to Save Energy)」と「世界グリーンビルディング評議会(World Green Building Council)」とのパートナーシップの下で運営しています。
EP100へ加盟するには、以下の3条件のうち最低でも1つを目標として設定する必要があります。

・基準となる年を設定し、そこから25年間でエネルギー生産性の倍増を目指すこと
・エネルギー生産性向上のため、10年以内にEMS(エネルギーマネジメントシステム)導入を目指すこと
・2030年までに、企業が所有しているビルの「ZEB化」を目指すこと


国外のEP100加盟企業には、H&M、ローマ空港、ヒルトンなどが名を連ねており、日本からは大和ハウス工業、NTT、大東建託の3社が加盟しています(2021年9月時点)。

EV100

EV100は「100% Electric Vehicles(電動車両)」の略称で、2030年までに事業活動における輸送・移動手段を「100%ゼロエミッションすること」を目的とし、2017年に設立した国際企業イニシアチブです。
RE100、EP100と同様に、EV100もクライメイト・グループが運営しています。

クライメイト・グループによると、輸送分野の温室効果ガス排出量は、世界全体の温室効果ガス排出量のうち約4分の1を占めることが分かっています。
そのため輸送手段の電動化は、輸送がもたらす大気汚染や騒音問題の低減に限らず、気候変動対策にも役立つとされています。
また、企業がEVへの移行を積極的に進めることによるEVの低コスト化も期待できるとされています。

EV100へ加盟するには、以下の3条件のうち最低でも1つを目標として設定する必要があります。

・企業が直接保有またはリースしている車両の電動化
・サービス契約にEV使用に関する規約を設ける
・企業が関連する全施設内にEV充電スポットを設置し、従業員のEV利用を推進する
・企業が関連する全施設内にEV充電スポットを設置し、顧客のEV採用を推奨する

国外のEV100加盟企業には、イケア、メトロAG、ドイツポストなどが名を連ねており、日本からはイオン、アスクル、NTT、東京電力、髙島屋、関電工の6社が加盟しています(2021年9月時点)。

日本独自のイニシアチブ「再エネ100宣言RE Action」とは

再エネ100宣言RE Actionは、RE100の加盟対象外となってしまう企業、自治体、教育機関、医療機関に向け、「グリーン購入ネットワーク(GPN)」をはじめとする4団体が2019年に設立した、日本独自の環境イニシアチブです。
「RE100加盟企業ほど大規模ではないけれど、自分たちも再エネ100%を目指したい!」という団体が加盟できるのがRE Actionです。

RE Actionの対象となるのは、以下の条件をクリアした企業です。

1.RE100の対象外であること
2.再エネ設備事業の売上高が全体の50%以下であること
3.主な収入源が発電関連事業以外であること


上記の条件をクリアし、RE Actionに加盟した団体には、以下の取り組みを実施することが求められます。

・2050年までに使用電力を100%再エネに転換する目標を設定し、対外的に公表すること
・再エネ推進に関する政策エンゲージメントの実施
・消費電力量、再エネ率等の進捗を毎年報告すること

また加盟した際には、参加費(年額)が発生します。
大まかな分類は、以下の通りです。

・企業の場合…2万5,000~20万円
・行政・公共機関の場合…5万~10万円
・非営利団体の場合…2万5,000~10万円


より詳しい分類と金額を知りたい場合は、こちらからご確認ください。

2021年9月時点でRE Actionに加盟している団体は178団体となっており、総消費電力量は約1,294kWhとなっています。
中小企業はもちろん、地方自治体、社会福祉法人、温泉旅館に至るまで、幅広い団体が加盟し、再エネ100%に向けて活動しています。

まとめ

今回は国際的な環境イニシアチブや、日本独自の環境イニシアチブについて解説しました。
「自分の勤めている会社もどこかに加盟しているのかな?」と気になった方は、是非一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
もしお勤め先がまだ加盟していない場合は、社員同士の話題にさりげなく出してみるのも良いかもしれませんね。
いずれにせよ「環境意識を誰かと共有すること」こそが、環境改善のための大きな一歩となるでしょう。

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