前回の記事では、世界各国に点在するエコホテルにスポットを当てて紹介しましたが、近年では日本国内でも魅力的なエコホテルが続々と増えています。
そこで今回は、数あるエコホテルの中でも特にオススメの6カ所を紹介していきたいと思います。
エコマークを取得しているホテル
日本では、エコなホテルかどうかを見分ける基準の一つとして「エコマーク」があります。
エコマークは、環境負荷が少なく、かつ環境保全に役立つと認められた商品やサービスにつけられる環境ラベルです。
日用品、自動車、小売店、レストラン、電力プランなど、エコマークは幅広い商品やサービスが対象となっています。
それぞれの分野における基準をクリアした場合のみ、エコマークを取得することができます。
このうち、ホテルや旅館におけるエコマークの認定基準は、次のようになっています。
A.周辺環境への配慮と利用者との環境コミュニケーション
例)施設周辺で行われる環境活動への参加配慮、利用者への環境配慮への協力呼びかけ
など
B.設備・運営による環境負荷削減
例)省エネ、節水、食品廃棄物の削減、グリーン購入
など
(参考:エコマークホテル・旅館とは?)
この章では、これらのエコマーク認定基準をクリアしたホテルを紹介します。
庭のホテル(東京)
東京都千代田区にある「庭のホテル」は、都心にいながら「美しい自然」と「和の空間」を堪能できるホテルです。
「庭のホテル」という名前の通り、敷地内には4つの庭が配置されており、四季や時間によって表情を変える緑を楽しめる作りとなっています。
さらに、国際的な衛生基準である「SAFEGUARD(セーフガード)ラベル」を日本で初めて取得しており、館内では徹底的な衛生管理が実施されています。
また、「庭のホテル」は「地球環境に優しいグリーンコンシャスなホテル」を目標に掲げており、館内照明にはLEDが採用されているほか、化石燃料の使用量を削減してCO2排出量ゼロを目指す「CO2ゼロプラン」も導入しています。
加えて、バスルーム内のシャワーヘッドには節水機能のあるものを採用、館内庭園の流水を循環利用するなど、効率的な水資源の利用にも取り組んでいます。
参考:庭のホテル
ホテルニューグランド(神奈川)
「ホテルニューグランド」は、海外からの要人を迎える迎賓館として1927年に横浜に誕生した、日本を代表するクラシックホテルです。
レトロモダンなタワー館の客室からは、みなとみらい21やマリンタワーを一望することができ、周辺には中華街や元町などの観光地が点在する好立地となっています。
過去には、マッカーサー、チャップリン、ベーブルースも宿泊したこのホテルは、近代産業遺産および横浜市歴史的建造物に認定されています。
そんな歴史ある「ホテルニューグランド」ですが、近年では横浜におけるSDGs活動をけん引する存在となりつつあります。
本館中庭を緑化して一般にも開放する、地域のゴミ拾い大会の企画運営を担当する、環境負荷の低い人力車やレンタサイクルの情報を提供するなど、SDGsを通して地域の発展にも貢献しています。
参考:ホテルニューグランド
戸田家(三重県)
天保元年(1830年)に三重県鳥羽市で創業した戸田家は、市内の観光地にアクセスしやすい好立地にありながら、眼前に美しい鳥羽湾を一望することができる大型老舗旅館です。
多彩な温泉が楽しめる温泉村、ゆっくりと回転することで鳥羽湾の景色を360℃堪能できる回転展望レストラン、地魚解体ショーなど、他では味わえないユニークな体験ができる点が魅力です。
そんな「戸田家」は、旅館では初めてエコマークを取得した施設としても知られています。
宿泊客の要望に応じた食事を提供することによるフードロスの削減、生ごみを堆肥化して育てた無農薬野菜や果物を使ったメニューの考案など、「おもてなし」と「環境配慮」を両立している点が評価されています。
また、厨房で発生する食料残渣を漁業用の飼料に利用したり、プールに貯めた雨水を散水に利用したりと、資源循環に貢献する活動にも長年取り組んでいます。
参考:戸田家
SHIROYAMA HOTEL kagoshima(鹿児島)
「SHIROYAMA HOTEL kagoshima」は、鹿児島県鹿児島市内の高台・城山に建つホテルです。
客室からは、鹿児島県のシンボルである桜島と鹿児島湾を一望する絶景のロケーションを愉しむことができます。
加えて、ホテルでは地下1000mから湧き上がる天然温泉、地元産の食材を使った料理やクラフトビールも堪能することができます。
そんな「SHIROYAMA HOTEL kagoshima」は、かねてより省エネへの取り組みに力を入れており、2009年には施設内照明のLED化を、2013年には太陽光発電システムを導入しています。
2020年度末には館内のLED化率82.5%を達成し、2020度のベンチマーク指標ではSクラス(優良事業者)に分類されました。
また、ホテルが建つ城山の環境保全活動にも力を入れており、城山の環境指標生物であるミツバチを育てる「城山の森みつばちプロジェクト」も実施しています。
この他にも、EV充電ステーションの設置、節電の社内啓蒙、生ごみ削減設備の導入など、包括的にSDGsに取り組んでいます。
参考:SHIROYAMA HOTEL kagoshima
エコマークは取得していないものの、環境配慮面で高い評価を得ているホテル
前章ではエコマークを取得したホテルを紹介しましたが、エコマークは取得していなくても、積極的に環境配慮に取り組んでいるホテルは沢山あります。
この章では、そんなホテルの中から厳選した2カ所を紹介します。
ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園(北海道)
「ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園」は、「サステナブルを通して北海道を体感してもらう」というコンセプトをベースに、2021年10月に開業した新しいホテルです。
ホテル建材や家具には北海道産の木材を使用し、ホテルに併設されたレストランでは北海道産の食材を提供するなど、徹底的に地産地消にこだわっています。 さらに、寝具にはGreen Down Projectによる「グリーンダウン(リサイクル羽毛)」を使用するなど、循環資源の活用にも取り組んでいます。
また、「ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園」では、すべての客室にテレビが置かれていないことも特徴です。
利用客は、木の質感に包まれたラウンジや客室でゆっくり寛いだり、ウッドデッキで仕上げられた屋上でグランピングを楽しんだりすることで、日常から離れた上質な時間を過ごすことができます。
ちなみに屋上では、地元のクリエイターや生産者によるイベントが開かれることもあるそうです。
参考:ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園
カミツレの宿 八寿恵荘(長野)
自然豊かな長野県北安曇郡にある「カミツレの宿 八寿恵荘(やすえそう)」は、日本で初めて「ビオホテル認証」を取得したホテルです。
「ビオホテル」は2001年に生まれた認証制度で、現在はヨーロッパを中心に約100軒のホテルがビオホテル認証を受けています。
ビオホテル認証を受けるためには、利用客の健康や環境に配慮した厳しい基準を満たす必要があります。
そんな厳しい基準をクリアした「カミツレの宿 八寿恵荘」では、食事、アメニティ、寝具、ホテルの建材に至るまで、可能な限りオーガニックなものを使用している点が特徴です。
ヒノキ、スギ、桜などを含む9種類の木材を使用して作られた館内は、自然の風合いたっぷりで癒されること間違いなしです。
また、温泉を温める燃料には地元で採れた間伐材から作られたバイオマス燃料を使用するなど、地元林業の活性化や山の環境保全にも貢献しています。
参考:カミツレの宿 八寿恵荘
まとめ
今回は、日本国内で環境配慮に取り組んでいるオススメのホテル6カ所を紹介しましたが、「ここ行ってみたい!」と思えるホテルはありましたか?
もちろん新型コロナウイルスの感染状況次第ではありますが、今年の夏に旅行を検討されている方は、是非宿選びの参考にしてみてくださいね。