絶滅危惧種は増え続けている?その種類と、野生生物たちを取り巻く現状を知ろう

環境問題

日本では犬や猫などのペットを飼っている家庭が多く、「動物が大好き!」という方も多く見受けられます。
しかし、遠くの国では沢山の動物たちが今まさに絶滅の危機に瀕しているということを知っている人は、意外に少ないのではないでしょうか。
そのいわゆる「絶滅危惧種」の種類は私たちが思っている以上に多く、またその状況は思っている以上に深刻です。

国際自然保護連合(IUCN)の調査によると、2019年7月時点で絶滅危惧種に指定された野生生物は、なんと28,338種にものぼっていることが分かっています。
このまま何の手も打たないままあらゆる生物が絶滅していった場合には、地球環境は大きくバランスを崩す可能性があります。

絶滅危惧種を取り巻く状況に少しでも理解を深めるためには、まずは実際に絶滅の危機に瀕している動物たちを知ることが大切です。
そこで今回は、IUCNが絶滅危惧種をまとめた「レッドリスト」を参考にし、そのリスト上に名前が載っている動物たちを紹介していきたいと思います。
とはいえ28,338種すべてを紹介することは難しいため、ここでは10種に絞って見ていきます。
またここで述べる個体数はあくまでも「野生」の個体数であるため、動物園などで飼育されている個体を含んだ数とは異なる場合があります。

基本的な情報を踏まえた上で、それでは一緒に絶滅危惧種について学んでいきましょう。

アメリカナキウサギ

アメリカナキウサギは、北アメリカの寒冷地に棲息するウサギ目の動物です。
ウサギというよりはハムスターのような小さく可愛らしい見た目、そして短く丸い耳と、「ナキウサギ」という名の通り警戒時に高い鳴き声を発する点が特徴です。
ちなみに英語では、「ピカ(またはパイカ)」と呼ばれています。

そんなアメリカナキウサギは近年の地球温暖化による温度上昇に耐えられず、年々個体数が減少しています。
2010年には一度、合衆国魚類野生生物局により「保護の必要はない」と判断されましたが、その後アメリカ地質調査所や野生生物保護団体により、再び保護の必要性が訴えられています。

アムールヒョウ

アムールヒョウは極東ロシア沿海地方南部などに棲息するヒョウの一種で、別名「シベリアヒョウ」、または「朝鮮ヒョウ」とも呼ばれています。
その名の通り、かつては朝鮮半島や中国東北部などにも棲息していましたが、毛皮を目的とした密漁や森林破壊などの影響により、現在では野生のアムールヒョウはなんと100頭以下まで激減しています。
そのため、アムールヒョウはレッドリストの中でも特に絶滅の危険性が高い「絶滅危惧IA類(CR)」に分類されています。

現在、野生ではなく動物園などで飼育されているアムールヒョウは世界で約250頭いるため、「飼育時に狩りなどを覚えさせた上で、野生の棲息エリアに還す」という構想も練られています。

オオカワウソ

オオカワウソは、主に南アメリカに棲息する動物です。
家庭でペットとしても飼われることの多いコツメカワウソに比べ、大きな体格と鋭い目つきをしている点が特徴です。

毛皮目的の乱獲によりその個体数は激減の一途をたどり、1999年にはレッドリストに追加されています。
1960年代にブラジルから輸出された毛皮の枚数は、なんと20,000枚にも達していたそうです。
そのブラジルでは1970年代以降は毛皮取引が法的に禁じられましたが、それ以降も密猟は行われ、現在の個体数は僅か5,000頭程度しか残っていないことが分かっています。

オカピ

オカピは、アフリカ大陸中部に位置するコンゴ共和国に主に棲息しています。
脚の部分が白と黒の横縞模様のようになっていることから、当初はシマウマの仲間だと思われていましたが、後にキリンの仲間であるということが判明しています。
森林に棲息していることもあり、「森のキリン」と称されることもあります。

そんなオカピは、1994年頃から2012年頃までの約18年の間に、個体数が半数以上減少していることが判明し、2013年には絶滅危惧種に指定されています。
前述したコンゴ共和国での環境破壊が進行したこと、模様の美しさから密猟のターゲットにされたことが個体数激減の原因だと考えられています。

ガラパゴスペンギン

名前を見ただけでも分かりますが、ガラパゴスペンギンは世界遺産に登録されているガラパゴス諸島の西部または北東部で主に繁殖しています。
ペンギンの中では唯一赤道直下に棲んでいるガラパゴスペンギンは、他の種のペンギンより比較的小形な点が特徴です。

ガラパゴス諸島への観光客がいたずらに行った撹乱(野生生物の棲む場所をかき乱すこと)や船舶事故による海洋汚染、また漁業による混獲などの影響により、現在は1,200~2,000羽にまで減少してしまっています。
また、赤道付近で数年に一度発生するエルニーニョ現象(※)も生息数に影響を与える一因となっています。

※…赤道付近の海水温度が、貿易風の影響により半年~1年間ほど例年よりも高くなる現象のこと

トド

トドは北太平洋、その沿海のオホーツク海、ベーリング海などに広く分布しています。
若干狂暴な性格ゆえに、昔から漁獲に必要な漁具を破壊したり、漁獲物を奪ったりすることが多く、漁業関係者からは忌み嫌われることが多かったようです。
そのことから「害獣」として目されるようになり、日本では1959年以降駆除対象としてしばしば駆除が行われました。
その他に気候変動などの要因も相まって、トドの生息数は年々減少の一途を辿りました。

現在、アメリカやロシアではトドは保護対象となっており、日本でもトドの駆除に反対の声を挙げる人々が増えていますが、一方でトドによる漁業被害も相変わらず深刻視されているため、「今後トドをどう保護していくか」という点に置いては難しい状況が続いています。

バク

バクは、北アメリカ、南アメリカ、東南アジアに主に棲息しています。
古くから日本や中国に伝わる幻獣の「獏」に見た目が似ていることがその名の由来だとされていますが、反対に幻獣の獏こそがバクを基に生まれたのではという説もあります。

バクは、マレーバク、アメリカバク、ヤマバク、ベアードバクの4つの種に分類されますが、近年ではその4種すべてが絶滅の危機に瀕しています。
理由としては密猟、また人間の介入により棲息地が失われつつことが挙げられます。
何よりバクは出生率が低く、多くの動物が一度に10匹以上出産するのに対し、バクは1度の出産時には基本的に1匹しか生みません。
そのため中々個体数が増えず、減少の一途を辿っているのが現状です。

ホッキョククジラ

ホッキョククジラは、主に北極圏及びその周辺に棲息しています。 他のクジラに比べてがっしりとした体格が特徴で、平均寿命はなんと100~200年だと言われています。

ホッキョククジラに限らず、多くのクジラは16~17世紀ごろから捕鯨の対象とされてきました。
商業目的の捕鯨が行われ続けた結果、1960年代には世界的に個体が激減しました。
現在では世界各地で捕鯨が禁止されており、日本でも1986年から禁止令が出されていましたが、2019年より一部で商業捕鯨が再開されたことにより、国際社会において物議を醸しています。

マサイキリン

ケニアやタンザニアなどに主に棲息しているマサイキリンは、度重なる密猟や人間による土地利用の影響により、年々その個体数が著しく減少しています。
2019年の7月時点でその個体数は約35,000頭となっており、30年前に比べると半数近く減っていることが分かっています。

マサイキリンはキリンの中でも圧倒的に個体数の多い亜種となっており、動物園にいるキリンの多くもこのマサイキリンとなっています。
このように、私たちにとっても身近な動物が絶滅危惧種に指定されたというのは、ある意味「これ以上絶滅危惧種を増やしてはならない」という警鐘なのかもしれません。

レッサーパンダ

野生のレッサーパンダは主にインド北東部、中国、ミャンマーなどに棲息していますが、現在その個体数は世界で10,000頭程度しかいないことが分かっています。
個体数減少の理由は、ここで紹介した他の動物たちと同じように、やはり人間による密猟や棲息地の破壊だと考えられます。
またバクと同様に出生率が低いため、今後一気に個体数が増える可能性も低いと言えるでしょう。

まとめ

変わり続ける地球環境において、いくつかの生物が絶滅していくのはある程度は避けられないことかもしれません。
しかし今回紹介した絶滅危惧種のほとんどは、人間によってその存在を脅かされている種ばかりです。
この事実を知ったことでショックを受ける人もいるかもしれませんが、その上で私たちにできることは、絶滅危惧種たちの置かれた状況を理解しつつ、身近なところから環境改善に取り組むことなのではないでしょうか。

具体的な保護に関する動きについては、今後もIUCNなどの保護団体の動きに注目しつつチェックしていきたいと思います。

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