2011年に東日本大震災が発生し、人々の防災意識がより一層高まったこの10年間では、大手から中小まで幅広いメーカーが蓄電池を販売するようになりました。
しかしその一方で、「メーカーが多すぎてどこの蓄電池を買えばいいのか分からない!」と悩んでしまう人も少なくありません。
各メーカーの蓄電池は一見同じようでいて、それぞれが異なる特徴を持っています。
ご家庭に合った蓄電池を選ぶために、今回は人気蓄電池メーカー8社の特徴をチェックしていきましょう。
ダイヤゼブラ電機
ダイヤゼブラ電機(旧:田淵電機)は、太陽光発電システム用パワコンにおいてトップクラスのシェア数を誇るメーカーの1つです。
そのノウハウを活かし、蓄電池および蓄電池用パワコンの開発を進めています。
ダイヤゼブラ電機が販売する蓄電池はハイブリッド型のみとなっている点が特徴で、ハイブリッド型に特化することで製品の全体的な性能の向上を図っています。
ダイヤゼブラ電機が手掛ける蓄電池の中でも特に一押しなのが、「EIBS7(アイビス7)」というシリーズです。
EIBS7は現在3つのパターンで展開されていますが、蓄電池容量はどれも7.04kWhで統一されています。
異なる点は「パワコンの出力と回路数」で、太陽光発電システムの容量に合わせて3種類の中から選べる点が特徴です。
ニチコン
ニチコンは、家庭用蓄電池の黎明期から活躍する老舗蓄電池メーカーです。
ニチコンの蓄電池の特徴は、何と言っても豊富なラインナップです。
単機能型やハイブリッド型だけでなく、トライブリッド型やポータブル型まで、幅広い種類の蓄電池が販売されています。
また、ニチコンは電気自動車と住宅を連携させた「V2H」システムを世界で初めて開発しており、その実績によって多数の大手ハウスメーカーからも高い信頼を集めています。
ファーウェイ
言わずと知れた中国の大手電機メーカーであるファーウェイは、2020年から家庭用蓄電池の販売にも参入しています。
そんなファーウェイの蓄電池の特徴は、
➀高い変換効率
②高い安全性
③コンパクトさ
の3点です。
それぞれの特徴については、以下の通りです。
➀高い変換効率
日本のメーカーが販売しているパワコンの平均的な変換効率は94%となっていますが、ファーウェイの蓄電池は97.8%というトップクラスに高い変換効率を実現しています。
②高い安全性
次に「高い安全性」ですが、ファーウェイのパワコンには火災の原因となる「直流アーク」という現象を瞬時に検知し、火災発生を未然に防ぐ「AFCI」という機能が搭載されています。
これにより、火災発生リスクをほぼゼロに抑えることに成功しています。
③コンパクトさ
従来のハイブリッド型パワコンは、太陽光発電システム用と蓄電池用とを一括にまとめた性能となっているため、単機能型のパワコンに比べて大きめとなっていました。
しかし、ファーウェイのパワコンは横幅が非常にコンパクトになっており、一般的なものと比べるとおよそ半分程度の35センチほどしかありません
また、奥行きもわずか15センチ程度となっています。
このように作業員が一人で設置出来るほどのサイズ感となっているため、設置費用も低く抑えることができます。
オムロン
体温計や体重計などで知られるオムロンは、実は太陽光発電用パワコン業界においても主要メーカーとして活躍しています。
そんなオムロンの蓄電池の大きな特徴は、「世界トップクラスのコンパクト設計」です。
蓄電池と言えば「重くて大きい」というイメージが先行しがちですが、それに対しオムロンは他社製と比べ、圧倒的にコンパクトな蓄電池を開発することに成功しています。
肝心のサイズは空気清浄機とほぼ同程度なので、室内でもスペースを取ることなく設置することができます。
また、オムロンは2020年10月よりマルチ蓄電プラットフォームの「KPBP-Aシリーズ」の販売を開始しています。
このシリーズでは現在「単機能型」「ハイブリッド型」「全負荷ハイブリッド型」の3種類が展開されており、購入者はライフスタイルに合った蓄電池を選択することができます。
中でも全負荷ハイブリッド型の蓄電池は、16.4kWhの大容量を誇っています。
さらにKPBP-Aシリーズには、購入後でも蓄電池のタイプを変更できるというメリットがあります。
例えば単機能型蓄電池を導入した場合、実際に使用した上で「災害時の備えをもっと万全にしておきたい」「もう少し容量を増やしたい」などの要望が出てくる可能性があります。
KPBP-Aシリーズではそういった要望にも柔軟に対応し、たとえ単機能型を導入した場合でも、後からハイブリッド型もしくは全負荷対応ハイブリッド型に変更することができます。
シャープ
国内最大手電機メーカーであるシャープは、「クラウド蓄電システム」という蓄電池シリーズを展開しています。
取り扱っている蓄電池はハイブリッド型のみですが、ライフスタイルに合わせて「コンパクトタイプ」「ミドルタイプ」「大容量タイプ」の中から選択できる仕様になっています。
また、シャープの蓄電池には「COCORO ENERGY」というAIシステムが搭載されています。
これによって、毎日の電気使用量を学習して効率的な蓄電を実現することが可能となっています。
さらに業界初となる「AI雷注意報連携」機能も搭載されているため、雷による停電にも備えることができます。
そしてシャープでは、「Webモニタリングサービス」という蓄電池購入者向けの遠隔監視サービスを無償で提供しています。
そのため蓄電池に不具合が生じても、迅速な発見・対応をしてくれるという安心感を得ることができます。
ネクストエナジー
太陽光発電システムをメインに扱っているネクストエナジーからは、「iedenchi」という蓄電池シリーズが展開されています。
このシリーズの蓄電池はすべて全負荷型となっているため、どの製品を選んでも万が一の停電時に十分備えることができます。
また、パワコンのタイプには単機能型とハイブリッド型の2種類がありますが、「停電を感じさせない家」というキャッチフレーズのもと、両タイプともに停電時でも電力を最大6kW使用できる大容量を備えています。
さらにネクストエナジーでは、蓄電池に対し「リボーン補償」というサービスが用意されています。
この補償は「設置済み太陽光発電システムに対し自然故障もしくは自然災害補償を5年追加」といった内容で、卒FIT対象者には大変嬉しいメリットになっています。
伊藤忠エネクス
伊藤忠グループによるエネルギー商社の伊藤忠エネクスからは、「エネパワボL」という蓄電池が販売されています。
エネパワボLの特徴のひとつは、9.8kWhの大容量です。
これだけあれば平均家庭の一日の消費電力を余裕でまかなえるため、停電時でも安心して電気を使用することができます。
また、電気料金プランを夜間の安いプランに変更して充電開始・終了時間を設定する「夜トクプラン」を活用すれば、スタンダードプランに比べて20.78/kWhほど電気料金を削減することができます。
他にもライフスタイルに合わせて「自家消費優先モード」と「売電優先モード」から選べるなど、かしこく電気を使うための機能が多数搭載されています。
京セラ
京セラが販売している「Enerezza(エネレッツァ)」は、世界で初めてクレイ型リチウムイオン電池を搭載した家庭用蓄電池です。
クレイ型リチウムイオン電池には、電極に電解質を練り込んで粘土状にする技術が採用されており、これによって安全性向上とコスト削減の両方を実現しています。
それだけでなく、従来のリチウムイオン電池に比べて寿命を約1.5倍伸ばすことにも成功しています。
また、京セラの蓄電池は設置時に「押し上げモードの有無」を選択することができます。
基本的に、太陽光発電で生み出した電気はまず自家消費に回され、残った分が売電に回されます。
しかし「押し上げモード」を選択すると、家庭内では蓄電池に貯めていた電力が優先的に消費され、太陽光発電で生み出した電気は最大限売電に回すことができます。
売電よりも自家消費を優先する人が増えている昨今、「それでもまだまだ売電したい!」という方には、京セラの蓄電池がピッタリだと言えるでしょう。
まとめ
今回は蓄電池主要メーカー8社の特徴を見ていきましたが、同じ蓄電池でもメーカーによって様々であることが分かりましたね。
ちなみに太陽光発電最安値発掘隊では、蓄電池に特化したサイト「蓄電池最安値発掘隊 情報館」も運営しております。
「各メーカーの製品についてもっと知りたい」という場合は、どうぞお気軽にお問い合わせください。