コロナ渦、ウクライナ侵攻、円安などの影響によって、ガソリンや食品の値上げが続いています。
そんな中でも、比較的安定した水準で価格を維持している野菜類ですが、近頃はスーパーに行くと、中サイズのたまねぎが3個で約400円という値段で売られているのを見かけます。
去年の今頃は同じ量が200円程度で売られていたのを考えると、この値上げはもはや異常事態だと言えるでしょう。
何より、常備野菜として欠かせないたまねぎが高くなるのは、家計に大きなダメージを与えます。
今はたまねぎが目立って値上げしていますが、実は過去には白菜、レタス、じゃがいもなどの他の野菜も異常な価格高騰を見せたことがあります。
野菜が異常に高くなってしまう背景には、年々深刻化する地球温暖化があると考えられています。
今回は、地球温暖化が野菜価格に与える影響や、農家を守るために国が行っている対策などについて解説していきます。
たまねぎの価格が高騰している背景
国内で生産されるたまねぎは、約70%を北海道産が占めています。
例年、8~10月頃に北海道産たまねぎの収穫が始まり、翌年5月頃まで市場に供給されます。
春先からは北海道産からバトンタッチするように全国2位の生産地である佐賀県産や、3位の兵庫県産の出荷が増えることで、年間を通じて安定した価格で国産たまねぎが手に入るシステムが確立していました。
しかし、昨年夏の猛暑、干ばつ、豪雨などによって北海道産の収穫量が激減し、昨年末から市場価格が上昇し始めたことで、佐賀県産や兵庫県産の需要が急増し、出荷価格が例年の4~5倍にまで高まっています。
北海道以外の主要産地でも低温や干ばつの影響を受け、全体的に小玉傾向であるため、出荷量自体が低下しているのも価格高騰に拍車をかけています。
日本にとって1番のたまねぎ輸入国である中国も、現在ロックダウンの影響で上海港の物流が停滞する事態となっています。 そのため、中国産たまねぎを使っていた飲食店が国産たまねぎを買うことになり、ますます需要が高まって価格が高騰しているのが現状です。
野菜の価格高騰と地球温暖化の関係
気象庁によると、全国の年間平均気温は地球温暖化によって、100年あたり1.24℃上がっていることが分かっています。
年間平均気温は年々上昇しており、2020年には1898年の統計開始史上最も高い温度を記録しました。
前述した昨年夏の異常な干ばつは、このような地球温暖化の影響によるものである可能性が高いと考えられています。
地球温暖化の進行は、干ばつに限らず、豪雨、土砂災害、台風、雹など、多くの気象災害を引き起こす原因にもなります。
気象庁が発表したデータには、近年1時間あたりの降水量が50mm以上を記録する大雨の発生回数が増加傾向にあることが記されています。
こうした現象は、農作物の生育不良、着色不良、変形などを引き起こし、農業全体にダメージを与えます。
農林水産省によると、昨年夏の気象災害によって全国の農家が被った損害は、農機や農地の損壊も含めて約420億円にも上ったそうです。
最近では、2022年6月3日に関東の広範囲で雹(ひょう)が降り、群馬県や埼玉県のとうもろこし農家が甚大な被害を受けました。
そして、地球温暖化は農業だけでなく、漁業や畜産業にも影響を及ぼします。
このままのペースで温暖化が進めば、そう遠くない未来、日本のみならず世界中が食糧危機に陥る可能性もゼロでは無いのです。
参考:気象庁|日本の年平均気温
農作物を地球温暖化から守るための取り組み
農作物を地球温暖化から出来る限り守るため、農林水産省は2015年8月に「気候変動適応計画」を策定しました。
計画書内には、今後重点的に取り組む対策についてまとめられています。
具体的には、次のような対策が挙げられています。
・肥培管理、水管理等の基本技術の徹底を通した高温対策
・高温耐性品種の開発・普及
・発生予察情報等を活用した病害虫の適期防除の徹底
・干ばつ対策を目的とした深耕や有機物等の投入による土壌の保水力向上
・干ばつ時に発生しやすいダニ類、アブラムシ類等の病害虫の適期防除
・災害に強い低コスト耐候性ハウスの導入、パイプハウスの補強、補助電源の導入
・適切な換気・遮光の実施、循環扇、ヒートポンプ等を活用した高温対策
など
また、気象災害によって農作物に損害が発生した場合の救済措置として、「農業災害補償制度」が用意されています。
これは、損害を受けた農家が再生産を行えるよう、国が損害の一定割合を補償する制度です。
2019年1月からは制度の見直しによって、新たに「収入保険制度」が創設され、従来では保障対象外となっていた露地野菜や果樹(ハウスなどを使わず屋外で育てる野菜)も対象となりました。
収入保険制度は、気象災害の影響を受けた収穫量減少や、収穫過多による市場価格の下落など、農家の経営努力ではカバーしきれない収入低下を補う制度です。
農林水産省によると、農家の過去5年間の平均収入を基準収入とみなし、その9割を下回った場合に支援対象になるとのことです。
参考:農林水産省気候変動適応計画
参考:農林水産省|収入保険制度の導入及び農業共済制度の見直しについて
今後の野菜価格の見通し
農林水産省が2022年5月時点で発表している、各野菜の今後の価格見通しは以下の通りです。
【平年並みで推移する野菜】
だいこん、キャベツ、ほうれんそう、ねぎ、レタス、きゅうり、なす、トマト、ピーマン、ばれいしょ、さといも、はくさい
【安値水準で推移する野菜】
にんじん
【高値水準で推移する野菜】
たまねぎ
これを見ると、もうしばらくたまねぎの価格は高い状態が続きそうです。
では、いつ頃になればたまねぎの価格は平年並みに戻るのでしょうか。
現時点では、はっきりと「この時期から安くなる」とは言えませんが、可能性があるとすれば「8~9月頃から」だと考えられています。
理由としては、8月になれば2022年度の北海道産たまねぎの収穫が始まるため、そこで安定した供給量を収穫することができれば、価格も平年並みに戻るかもしれないからです。
8月までは、できるだけ大きな気象災害が起きないよう祈りたいですね。
参考:農林水産省|野菜の生育状況及び価格見通し(令和4年5月)について
少しでも野菜を安く買うには
8月にたまねぎの価格が安くなるとしても、それまでは高いことに変わりありません。
食費を抑えるためにはなるべく購入を控えたいものの、たまねぎは幅広い料理に欠かせない存在ですから、やっぱり買わないわけにはいかないですよね。
少しでも野菜を安く買いたいのであれば、スーパーではなく直売所を利用することをお勧めします。
直売所はその名の通り、地元の農家の方たちによって直接持ち込まれた野菜が販売されている所です。
直売所で売られている野菜たちは、「地元産の野菜をたくさん食べてもらいたい」という思いから、多くの場合良心的な価格に設定されています。
つまり、地元の直売所で野菜を買うことは、節約だけでなく地域貢献にもなるのです。
いつも近所のスーパーでお買い物している方は、たまには直売所まで足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
また、近年では大手通販サイトやネットスーパーなどを通じて、傷や着色不良などによって市場に出回らなかった「訳アリ野菜」が安値で販売されていることがあります。
「直売所が気軽に行ける範囲に無い!」という場合は、こういったものを利用するのも一つの手でしょう。
とはいえ、スーパーもスーパーに野菜を納める農家も、好きで値上げしているわけでなく、むしろ一番価格高騰の煽りを受けている立場にあります。
応援のためにも、余裕がある時はスーパーでたまねぎを買うのも良いかもしれませんね。
まとめ
今回は、野菜高騰と地球温暖化の関係について解説しました。
野菜を安く買うための方法なども解説しましたが、一番重要なのは野菜が気象災害によって不作にならないよう、地球温暖化の進行を食い止めることです。
食い止める、と聞くと難しく感じますが、節電を心掛ける、省エネ機器を導入するなど、一人一人ができることをやるだけでも、必ず地球温暖化を防ぐ効果はあるはずです。
当社は、省エネに有効な太陽光発電システムと蓄電池を長年取り扱っています。
私たちの日々の暮らし、そして地球を守るために、今後も再生可能エネルギーの普及に貢献していきたいと思います。
太陽光発電システム・蓄電池が気になる方は、どうぞお気軽に当社までご相談ください。
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