21世紀以降に絶滅した、または絶滅の可能性が高い野生生物10種

環境問題

以前「絶滅危惧種は増え続けている?その種類と、野生生物たちを取り巻く現状を知ろう」というコラムの中で絶滅の危機に晒されている野生生物たちを紹介しましたが、残念ながら既に世界から姿を消してしまった野生生物は何百、何千種類といます。

そこで今回は21世紀に入ってから正式に絶滅が認定された、あるいは絶滅の可能性が高い野生生物を10種類に絞って紹介しつつ、これ以上絶滅種を増やさないためにどうすれば良いか考えていきたいと思います。
ちなみにここでは、繁殖個体は残っていても野生個体は絶滅してしまった生物も含めて紹介していきます。

メキシコハジシロキツツキ

メキシコハジシロキツツキは、かつてメキシコの西部に位置するシエラ・マドレ山脈一帯に広く分布していた鳥類です。
通称「テイオウキツツキ」とも呼ばれ、全長約60センチメートルに渡るキツツキの中では大型な体格、赤い羽の生えた頭部、黒と白の身体が特徴です。

繁殖するために必要不可欠な大木が森林伐採により減少した影響を受け1950年代頃から個体数が激減し、1996年頃までは数回目撃例があったものの、そのどれもが不確かなものでした。
その後も生存に繋がる確かな情報が得られなかったため、2003年に国際的な鳥類保護団体であるバードライフ・インターナショナルにより「絶滅した」と発表されました。

ワキアカカイツブリ

ワキアカカイツブリ(脇赤鳰)は、マダガスカル中北部に位置するアウラチャ湖周辺に分布していた鳥類です。
全長は約25センチメートルで、黒いくちばしが特徴です。
また羽が小さかったことから、長距離飛行はあまり得意ではなかったのではないかと推測されています。
季節による渡りも行わず、アウラチャ湖に生息する魚類を食べて暮らしていたそうです。

ワキアカカイツブリは人の手による乱獲や別の種との交配、また生息地のアウラチャ湖にプラ―チョンという魚が人為的に移入された影響などを受けて生息数が減少しました。
1985年以降は発見されることもなくなり、2010年にこちらもバードライフ・インターナショナルにより絶滅宣言が出されました。

ピンタゾウガメ

ロンサム・ジョージのはく製(チャールズ・ダーウィン研究所)

ピンタゾウガメは、ガラパゴス諸島のピンタ島に分布していたカメの1種です。
最大甲長は100センチメートル近く、細長く扁平な形状の甲羅を持ち、サボテンを主食としている点が特徴です。

ピンタ島には元々2500頭ほどのピンタゾウガメが生息していましたが、19世紀半ばから食用肉としての乱獲が行われるようになってからは生息数が激減しました。
さらに人為的に移入されたヤギやブタによって島の植生が破壊された影響で、1959年には一度絶滅したと考えられていました。
その後1971年に雄の一個体が再発見され、保護されたその個体は「ロンサム・ジョージ」と名付けられ繁殖計画のために研究所で飼育されていましたが、結局繁殖は成功せず2012年にはロンサム・ジョージも死んでしまったため、改めて野生絶滅種として認定されました。

ミヤココキクガシラコウモリ

ミヤココキクガシラコウモリ(宮古小菊頭蝙蝠)は、沖縄県の宮古島や伊良部島の洞窟に生息していた日本固有亜種のコウモリです。
宮古島の方言では、「カートゥイ」とも呼ばれていました。
他のコキクガシラコウモリ類に比べて小型な体格、短めの尾と耳、淡い色の体毛などが特徴です。

島の文明化が進んだことによる生息地の悪化や減少の影響により1971年7月を最後に姿が確認されなくなり、2012年に正式に絶滅したと判断されました。

ブランブルケイメロミス

ブランブルケイメロミスは、オーストラリアのグレートバリアリーフ北端に位置する「ブランブル・ケイ」という島に分布していたネズミの1種です。
体長は約15~17センチメートルで、他のネズミ類に比べて短い耳、長い尾、大きな足が特徴です。
孤立した島であるブランブル・ケイにどのように到達したかという点については、研究者たちにとっても今なお不明だそうです。

ブランブルケイメロミスは2009年を最後に目撃例が無くなり、2016年にはクイーンズランド州政府クイーンズランド大学の研究者によって絶滅の可能性が示唆され、2019年2月に正式にオーストラリア政府によって正式に絶滅宣言が発表されました。
絶滅の主な原因は「地球温暖化による海面上昇」だと考えられており、これに対しクイーンズランド州政府は「おそらくブランブルケイメロミスは、人為的な気候変動により絶滅した最初の哺乳類だ」と述べています。

キタシロサイ

キタシロサイは、アフリカに位置するチャドやコンゴ共和国といった国に主に広く分布していたシロサイの亜種です。
サイ科では最大種となっており、頭部から2本の角が生えている点が特徴です。

アフリカやアジアには古くから「サイの角はあらゆる病に効く万能薬」という言い伝えがあり、それによって1970年代頃より多発した密猟が原因でキタシロサイの生息数は激減し、1990年代には個体数は僅か1,000頭以下にまで減っていたそうです。
その後1990年代後半に勃発した内乱以降はほぼ完全に姿を消し、2008年には野生絶滅種に認定されました。

2018年にはケニアのオルペジャタ自然保護区で飼育されていたキタシロサイ最後のオス「スーダン」が息を引き取り、残るはメス2頭のみとなったため、このままでは繁殖することも難しく完全に絶滅するのではないかと危惧されています。
しかしスーダンの精子は冷凍保存されているため、研究者たちはこれを利用した繁殖を可能にするための研究を進めています。

シャンハイハナスッポン

シャンハイハナスッポンは、中国の上海市やベトナムのハノイに位置するホアン・キエム湖に分布していたカメの1種です。
淡水に生息するカメの中では最も大きいと言われており、カニやカタツムリを食べていたと考えられていますが、詳しい調査が行われる前に絶滅したため、その生態はほぼ不明となっています。

1950年代以降に多発した乱獲、河川改修や水質汚染による生育環境の悪化などが原因で、1970~1980年代には一度野生個体は絶滅したと考えられていました。
その後、動物園で飼育されていた個体同士での繁殖が何度か試みられましたが、2019年には最後のメスが息を引き取り、残るはオス2頭のみとなったため、事実上の「機能的絶滅(繁殖が困難なこと)」となってしまいました。

カリブモンクアザラシ

カリブモンクアザラシは、カリブ海に広く分布していたアザラシの1種です。
体長は約2メートルで、他のアザラシに比べて丸い頭と細い毛が特徴です。

16世紀以降に脂肪からランプや機械に使う油を取るための乱獲が多発したこと、漁業者による駆除も行われたことによって大幅に個体数が減少し、1952年を最後にその姿は目撃されなくなりました。
そして2008年、アメリカ海洋大気庁の漁業局により正式に絶滅宣言が出されました。
現時点でカリブモンクアザラシは、「人為的な要因によって絶滅した唯一のアザラシ」だと考えられています。

スムース・ハンドフィッシュ

スムース・ハンドフィッシュは、オーストラリア海域に分布している全14種のハンドフィッシュのうちの1種です。
その名の通り人の手のような形をした前ビレを使って、ほふく前進するように海底を這う姿が特徴的な海水魚です。

乱獲や人為的な海水汚染の影響を受けて生息地が減少したことにより姿を消し、2020年3月に正式に絶滅種として認定されました。
現代における海水魚の絶滅は、これが初めてだそうです。

オガサワラシジミ

オガサワラシジミは小笠原諸島に生息するチョウで、日本の固有種となっています。
外側が黒く、内側が青い翅を持っている点が特徴です。
トカゲやグリーンアノールといった外来種の影響により、1989年頃から個体数が急減し始めたと考えられています。

環境省は絶滅を防ぐべく2005年頃より多摩動物園での飼育を初め、2019年には新宿御苑に成虫19匹を引き渡しましたが、2020年に生まれた卵や幼虫は全てふ化および羽化せずに死んでしまいました。
このままではオガサワラシジミは正式に絶滅種となってしまうため、現在は繁殖に失敗した原因の究明と、主に母島での野生個体の探索が続けられています。

まとめ

今回は10種の絶滅種に絞って紹介しましたが、地球から姿を消した生物はもちろんこれだけではありません。
そして科学技術の進化によって人工繁殖が成功するケースもあるものの、ほとんどの生物は一度絶滅したらその後新たに生まれることはありません。
これ以上多くの生物が絶滅しないためには、私たち一人一人が出来る限り環境に配慮した生活を心がけることが何より大切だと言えるでしょう。

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