太陽=神様!?神話によって異なる「太陽神」の在り方

カルチャー&ライフ

人種や生まれた国を問わず、人々は太古から自然の中に大きな未知の力を感じ、その目に見えない存在を「神」として信仰の対象としてきました。

その対象は山、海、森林、雨など幅広くありますが、中でも多くの神話において最も重要視されてきたのが「太陽信仰(太陽崇拝)」です。
今とは違って国を越えた連絡など取る術もない遥か昔に、まったく異なる文化を持った国々で同じように太陽を神として信仰していたというのは、大変興味深いですよね。
そしてそれと同時に、やはり太陽はすべての生命にとって非常に重要な存在なのだということも分かります。

とはいえ、やはり国が違えば太陽信仰の在り方も異なってくるものです。
そこで今回は、各国の神話における太陽信仰の文化を掘り下げつつ、昔から人々の精神的支柱として存在していた太陽および太陽神について、いつもとは少し違った視点から思いを馳せてみましょう。

日本神話

今でこそ世界的に見ても無宗教の人が多い印象の強い日本ですが、古くから根付いている信仰という観点から見ると、やはり日本はれっきとした「神道の国」と言えます。
まずは、この神道について簡潔にご紹介しましょう。

神道とは日本に古来から伝わる宗教のことですが、教典や開祖などは存在せず、自然あるいは自然界に存在する(と考えられていた)精霊などを神格化して崇拝する点が特徴となっています。

そういった崇拝対象の中でもひときわ重要な存在として崇められていたのが、日本神話において主神そして太陽神として登場する「天照大神(アマテラスオオミカミ)」です。
天照大神は皇祖神(現在の皇室の祖)でもあり、そして天皇家のルーツは稲作農耕民にあったと考えらえていたため、日本人は古くから収穫した米やその米から作られた日本酒を神棚において捧げていたそうです。

また、日本国旗が日の丸になっている点も太陽信仰と関係しています。
日の丸の起源については以前アップした『日本ではなぜ「太陽=赤色」なの?他の国は違う?それぞれの文化を徹底調査!』というコラム内にて詳しく述べていますので、気になる方はそちらも是非チェックしてみてくださいね。

エジプト神話

エジプト神話に出てくる神々の中で最も偉大であり、太陽の化身とも称されているのが「太陽神ラー」(以下、ラー)です。
古代のエジプトで制作されたと考えられている壁画やヒエログリフなどには、基本的にラーは頭部がハヤブサ、体は人間という姿で描かれています。
元々は宇宙の神だったという説もあり、主に先王朝時代(紀元前5500年~紀元前3100年)から第5王朝時代 (紀元前2494年~紀元前2345年)において絶大な信仰を集めていたと言われています。

エジプト神話には、ラーは天の女神ヌトから生まれた後、知恵の神トトや暴風神セトなどと共に、昼と夜の世界を旅する様子が記されています。
その道中では救いを求める人々に恩恵を与えたり、混沌や破壊の象徴である宿敵の蛇アポピスと戦ったりしています。
そしてそれらの旅が終わりを迎える頃になると、ラーはヌトの体内へ帰ります。
そうして、また時が巡ると再びヌトから生まれ、旅に出て……というサイクルを永遠に繰り返します。

この神話は「日の出と日没」という太陽の運行サイクルを表しているのですが、これは当時のエジプトの人々の死生観に大きな影響を与えました。
ラーが生と死を繰り返しながら永遠の時を旅するのと同様に、当時のエジプトの人々にとっても、「死は新たなる旅立ち」だと考えられるようになっていたのです。

第5王朝以降の時代になると、次第にラーは「年老いた無能な神」として軽んじられるようになったそうですが、それでも今日に至るまで、ラーはエジプト神話の中でひときわ大きな存在感を放ち続けています。

ギリシャ神話

ギリシャ神話における太陽神には、アポロン、ヒュペリオン、ヘリオスがいます。

まず、アポロンはギリシャ神話の中でも比較的有名となっており、主神ゼウスと女神レトの息子でもある神です。
しかしながら、後述するヘリオスと混同されることが多かったために太陽神に含まれることがあっただけで、本来は音楽(竪琴)、予言、牧羊、弓矢の神であるという見方もされています。

次のヒュペリオンは、天空神ウラノスと大地の女神ガイアの息子として生まれた神です。
アポロンとは違い純然たる太陽神という見方がされている一方で、母であるガイアが神以外の魔物や怪物たちも何体か生んでいることから、「ヒュペリオンは太陽神として相応しくないのでは」という声もあります。

そして最後のヘリオスですが、ヘリオスはギリシャ神話においては最も太陽神として名を知られている神となっています。
そもそもヘリオスという名前には「太陽」や「日」という意味が込められているため、ヘリオスこそが太陽の化身だと言っても過言ではないほどです。
ヘリオスは、前述したヒュペリオンとその姉妹ティアーの息子であるとされています。
そして兄弟には、同じように天体を司る暁の女神エオスや月の女神セレネがいます。

ギリシャ神話に登場する神々は非常に人間くさいのが特徴となっているのもあり、太陽神も日本神話やエジプト神話のように絶大な信仰を集める存在というわけではありません。
それでも、神話の中でヘリオスは盲目になったオリオン(オリオン座の元となった人物)の目を治療してあげたりと、度々太陽神らしい面を覗かせています。

その他の神話に登場する太陽神

前章までに紹介してきた神話の他にも、個性的な太陽神が登場する神話はいくつも存在します。
ここからは若干かいつまんでの紹介となりますが、もう少しだけ太陽神が出てくる世界の神話について見ていきましょう。

インド神話

インド神話には、「スーリヤ」という太陽神が登場します。 一般的には、金色の髪に3つの目、そして4本の腕を持つ姿で表されます。
寺院の仏像や宗教においては、7頭の馬が引く戦車に乗って天空を翔ける姿が数多く描かれています。
また、前述した4本の腕に法螺貝や蓮の花などを持っている姿が描かれている場合もあります。
スーリヤは太陽神ゆえに全身から高熱を発しており、その熱さのせいで生まれた瞬間に母親に放り投げられたとされています。

ローマ神話

ローマ神話の中には「ソール」、もしくは「ソル」と呼ばれる太陽神が存在し、この名前はフランス語で太陽を表す「ソレイユ」に由来しています。

ローマ神話は前述したギリシャ神話と結びつきが強いため、ギリシャ神話における太陽神のヘリオスとソールが同一視されることも度々あるようです。
そして、ローマ神話における主神はユーピテル(もしくはユッピテル)とされていますが、帝政ローマの時代には、ソールはほとんど主神の様に絶大な信仰心を集めたそうです。

北欧神話

北欧神話に登場する太陽神は、ローマ神話と同じく「ソール(ソル)」という名前をしています。
ちなみに北欧神話の中では、雷神も同じくソールという名前となっています。

神話によると、ムンディルファリという男が自身の2人の子供があまりに美しいことから、娘にソール、息子にマーニ(月を表す名前)という名をつけたところ、これに怒った神々が二人を捕らえ、ソールには太陽の運行を、マーニには月の運行を任せたことが太陽神の始まりだとされています。

まとめ

今回は世界各地の神話に登場する太陽神にフォーカスを当てて見ていきましたが、冒頭でも述べた通り、各神話を通して「いかに太陽が人々にとって昔から大きな存在だったか」という点を改めて認識することができましたね。

近年では、この世に存在するあらゆる神話を題材にした書籍も沢山本屋に並んでいるので、もし「これはもっと掘り下げたいかも…!」といったように興味を惹かれる神話があれば、この機会により細かく調べてみるのも良いかもしれませんよ。

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