最近よく聞く「フェアトレード」とは?その内容や商品をチェック!

環境問題

近頃ではスーパーや百貨店などに買い物に行くと、「フェアトレード」と記載された商品を見ることが増えてきていますよね。
このフェアトレード商品、普段の買い物中はついつい流し見してしまうものの、後から
「そういえばフェアトレードって何だろう…?」と気になった方も多いのではないでしょうか。
今回はそんなフェアトレードの意味を押さえつつ、年々種類が豊富になるフェアトレード商品、そして課題などについてチェックしていきましょう。

まずはフェアトレードの意味を知ろう

フェアトレードは日本語に訳すと「公正貿易(または取引)」となり、アジア、アフリカ、中南米などの発展途上国で生産された原料、作物、製品などを先進国が適正価格で長期に渡り継続購入することで、途上国に暮らす生産者たちの生活を「持続可能かつより良いものにしていこう」と目指す経済活動のことを意味しています。
またフェアトレードの効果はそれだけではなく、市場価格や重要と供給のバランスが安定し低所得者数が減少すれば、貧困ゆえの乱開発(※)が原因の環境破壊も防ぐことができると考えられています。
場合によっては「オルタナティブ・トレード(新しい貿易)」と呼ばれることもあり、今日では国際的な連携経済を担うための重要な一要素となっています。

※乱開発…元々存在している自然や野生生物に配慮せず、リゾート地、高速道路、工場などの開発を行うこと。

フェアトレード誕生の歴史

フェアトレードの歴史は意外にも古く、1960年代にはヨーロッパを中心に市民による「フェアトレード運動」が行われていました。
当初は「第二次世界大戦後の経済復興のため」という目的のもと、ごく一部の流通市場において手工業品などの輸入が行われていたそうです。

その後、次第にフェアトレードの考えに共感を示す流会社が参入するようになり、より多くの一般市場向けに流通が行われるようになります。
それに伴い、「環境」「社会」「経済」の3つにおける基準をクリアした商品に送られる「国際フェアトレード認証ラベル」も生まれました。

そして現在では、イギリスやカナダなどの欧米を中心に「フェアトレード商品の販売及び利用」を活発に推進している街を認定する「フェアトレード・タウン」制度の動きが広がっている他に、スターバックスのような大手グローバル企業も積極的に取り組むようになっています。

フェアトレードがさかんな国はどこ?

いまやフェアトレードはヨーロッパのみならずアジアや欧米でもさかんになっていますが、中でも進んでフェアトレードに取り組んでいる国はイギリスです
イギリスでは、販売されているバナナのなんと3本に1本はフェアトレード商品、また袋詰め砂糖の10袋中4袋もフェアトレード商品となっています。
それらの取り組みにより、2012年にはフェアトレード商品における売上高が15億ポンド(日本円で約2080億円)を上回っています。

また、日本ではあまり馴染みのないフェアトレード認証ラベルも、イギリスでは80%近くの国民がその意味を知っているそうです。
まだまだフェアトレードの認知度が高いとは言えない日本でフェアトレード商品を購入するのはややハードルが高い印象がありますが、反対にイギリス国民にとってフェアトレード商品は、何も特別ではない身近な存在なのかもしれませんね。

日本におけるフェアトレードの普及

日本で初めてフェアトレード商品が販売されたのは、今から25年以上前の1993年のことです。
1992年、ルーテル教会で牧師をしていた松木傑氏は、教会の活動としてヨーロッパ各国を訪れていた際にフェアトレードを知り、日本でもこの取り組みを普及しようと思い立ちます。

そして同年8月に国際協力NGOの「わかちあいプロジェクト」を設立し、11月にはいくつかの教会組織と市民団体を集め、「トランスフェア・ジャパン」という日本におけるフェアトレード認証組織を作り、国内で初めてフェアトレードコーヒーの販売を実現させました。
その後2004年には、世界におけるフェアトレード基準の統一化を機に「トランスフェア」は「フェアトレード・ラベル」に名前を変え、さらに少し後にはNPO法人「フェアトレード・ラベル・ジャパン」が設立されています。

前述したように、現在の日本におけるフェアトレードの普及率及び認知率はイギリスなどに比べるとまだまだ高いとは言えませんが、わかちあいプロジェクトを筆頭としたいくつかのフェアトレード推進団体の活動により、年々着実に商品の種類や販売店を増やしています。

日本で販売されている様々なフェアトレード商品

フェアトレードが誕生した頃に比べると、近年ではずいぶん多種多様なフェアトレード商品が販売されるようになっており、日本においてはなんと750点以上もの商品が取り扱われているそうです。
その主なフェアトレード商品は、以下になります。

【食品類】
・コーヒー
・紅茶
・チョコレート(カカオ)
・ハーブ・スパイス
・バナナなどの果物
・ジャムなどの加工果物
・ワインなどのアルコール類
・ハチミツ
・ゴマ
・オイルシード
 など

【食品以外】
・コットン製品
・切り花
・サッカーボール など


今回挙げたフェアトレード商品の中のいくつかは、「UCC上島珈琲株式会社」や「イオントップバリュ株式会社」などの大手企業でも取り扱われています。
こうして見ると、フェアトレード商品には私たちの暮らしに身近なものが沢山あることが分かりますね。

フェアトレードと環境保全の関係

フェアトレードには「貧困国の生産者たちの支援」だけではなく、「地球環境の保護及び改善」という目的も含まれています。
そのためフェアトレード商品のほとんどはCo2を排出する大規模システムや化石燃料には依存せず、できるだけ持続的に利用可能な天然資源を用いて、手作業またはオーガニック製法によって作られています。
また、長期に渡る継続的な取引を行うことで、生産者も自然保護に配慮した生産環境づくりに投資することができます。
何よりそのような中で作られたフェアトレードが市場に並べば、消費者側の環境保全に対する意識を向上させる効果もあると期待されています。

日本のフェアトレードにおける今後の課題

ここまで見ると、「フェアトレードって良いこと尽くしじゃん!」と思ってしまいますが、すべての物事にはデメリットがあるように、フェアトレードにも現状ではまだまだ課題が残っています。
ここでは特に「フェアトレード後進国」とも言われる日本における課題を知りつつ、今後さらに国内でフェアトレードが広がっていくために必要なことついて考えてみましょう。

課題➀商品の価格が高い
前述したように、フェアトレード商品の多くは手作業またはオーガニック製法によって生産されています。
しかしそれにより大量生産が難しく、またフェアトレードを支援する国内の団体も資金が豊富ではないため、どうしても類似商品に比べると価格が高くなってしまうのが現状です。
これに対しフェアトレードに参入している各企業は、生産者の安定した生活を守りながらもより購入しやすい価格設定を目指す動きを始めています。


課題③「商品の購入」ではなく「募金」という印象が強い
フェアトレードはその性質上、「この商品が欲しくて購入する」というよりは「慈善意識から商品を購入する」という消費者心理を生みやすくなっています。
しかしチャリティとしての側面が強まってしまっては市場のニーズに基づく「公正な貿易」とは言えないため、これではフェアトレードが人々の生活に馴染むのは難しいのではないかと考えられています。
何より日本におけるフェアトレード商品の取扱数は少しずつ増えてはいるものの、やはりまだまだ少ないため、イギリスなどの国に比べると未だに募金感覚で商品を購入する人が多いのが現状です。

まとめ-私たちにできること-

今回はフェアトレードの内容や商品、そして課題までを細かくチェックしていきました。
もし今度お店でフェアトレードのコーヒーやチョコレートなどを見かけた時は、「買って発展途上国を応援しなくちゃ!」と気負いするのではなく、「自分へのご褒美」や「親しい人への贈り物」として買ってみてはいかがでしょうか?
些細なことに感じるかもしれませんが、その行動が巡り巡って世界の貧困問題や環境問題の解決に貢献するかもしれませんよ。

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