近年ではコスメやファッションなど、さまざまな分野においてエコでサステナブルな取り組みを行われています。
そんな中、日本の大手玩具メーカー「タカラトミー」は、自社基準をクリアした環境に優しいおもちゃを「エコトイ」としてラインナップ展開しています。
また現在、エコトイ活動に取り組むおもちゃメーカーは、日本だけでなく世界中にあります。
今回は、タカラトミーが展開するエコトイの特徴や、エコトイ活動に取り組んでいる各国のおもちゃメーカーについてチェックしていきましょう。
タカラトミーが掲げるエコトイの基準
タカラトミーは「100ねんあそぼ」をコンセプトに掲げ、「100年先の未来でも楽しいおもちゃでみんなが笑顔になれる世界」を目指して環境活動に取り組んでいます。
この取り組みの中核を成しているのが、エコトイ活動です。
自社が掲げるエコトイ基準のうち、どれか1つでもクリアしているおもちゃには、パッケージなどに「エコトイ認定マーク」を表示しています。
タカラトミーが掲げる独自のエコトイ基準は、おおまかに以下の通りです。
・省資源…従来商品と比べて重量が削減されており、かつ遊びの性能が損なわれないもの。
・再生原料の使用…製品全体の重量に対するプラスチックの重量が50%以上であり、再生プラスチック配合率が40%以上(プラスチック重量比)。
・省エネルギー…従来品と比べ、消費電力を削減したもの
・廃棄物削減…従来であれば電池の必要な動作を電池なしで行えるもの
・資源の有効活用…パッケージやカプセルを工夫することで、製品の一部として使用することができるもの
・長期使用の促進…お子さまの成長に合わせて形を変えられ、長く遊べる設計上の工夫をしている。
・環境配慮の心を育む…環境に配慮した行動を遊びの中で体験することで、環境の大切さについて考えるきっかけになる
(参考:タカラトミー)
これらの基準をもとに、タカラトミーではエコトイの生産が行われています。
タカラトミーが展開するエコトイ
それでは、前述したエコトイ基準に沿って作られたタカラトミーのおもちゃをチェックしていきましょう。
タカラトミーと言えばコレ!「プラレール」
再生原料を使用して作られたおもちゃの代表作には、自由自在にレールをつなげて電車や新幹線を走らせる「プラレール」があります。
1959年の誕生以来多くの子供たちに愛されるロングセラー商品ですが、2012年から「エコレール」と呼ばれる商品が販売されていることは意外と知られていないかもしれません。
エコレールは再生原料を50%以上使用しており、それによって日本環境協会が定めた「エコマーク」を玩具商品として初めて取得しました。
通常のプラレールが青いのに対し、エコレールは環境に優しいイメージを彷彿とさせる優しい緑色をしています。
ちなみにレール以外には、再生材プラスチックを使用して作られた「エコブロック橋脚」などがあり、こちらもエコ認定を受けています。 「子供がプラレールにハマり、ついついレールやパーツを買い足してしまう」という場合は、せっかくならエコな方を選んでみてはいかがでしょうか?
手動でレースが楽しめる「トミカ スピードウェイ Go!Go!アクセルサーキット」
サーキット系のおもちゃは基本的に電動式であることが多いですが、そのために電池をたくさん買うのは、環境だけでなくお財布にも優しくないですよね。
その点「トミカ スピードウェイ Go!Go!アクセルサーキット」は手動式となっているため、電池を使わずに繰り返し遊ぶことが出来ます。
おえかきボードの金字塔「せんせいシリーズ」
1977年の発売以来、おえかきボードの代表格として知られている「せんせいシリーズ」は、お子さまがペンを握れるようになるころに始まる「なぐりがき」から「文字の練習」まで、成長ごとのお子さまの「かきたい気持ち」に応えて長期的に遊べるおもちゃです。
繰り返しかいたり消したりできるため、紙にかくよりもずっとエコにおえかきを楽しむことができます。
また、おえかき部分のスクリーンが古くなってきたら交換できる点も、長く遊べるポイントです。
華麗に泳ぐ金魚を愛でる「ひかりとみずのカラクリ金魚」
「ひかりとみずのカラクリ金魚」は、電池を一切使わないソーラー発電によって、金魚の模型が優雅にゆらゆらと泳ぐ様子を楽しめるおもちゃです。
水槽のお手入れや餌やりの必要もなく、お手軽に金魚を愛(め)でることができます。
大注目の新商品「テコロでチャージ」
2021年10月から発売された「テコロでチャージ」は、プラレール史上初となる「電池無しで電動走行する車両」です。
その名の通り、車両を手に持ち床などに軽く押し付けながら前後に転がすことで、電力をチャージさせる仕組みとなっています。
現時点では「E5系 新幹線はやぶさ」と「E6系 新幹線こまち」の2種類が展開される予定で、ボディの色はどちらも子供心をくすぐるスケルトンカラーとなっています。
ガチャカプセルにも工夫アリ
エコトイ基準には含まれていないものの、タカラトミーはガチャガチャのカプセルの省資源化にも取り組んでいます。
たとえば、従来の直径65㎜で統一されていた200円カプセルを、商品サイズに合わせて一部コンパクトな直径48㎜のカプセルに変更するなど、サイズ縮小による省資源化を実践しています。
海外のおもちゃメーカーによるエコトイ活動
ここでは各国のエコトイ、そしてエコトイ活動に取り組むおもちゃメーカーについて紹介していきます。
Promotional Pets(プロモーショナル・ペッツ)
プロモーショナル・ペッツは、ドイツのおもちゃメーカーです。
「海の中のプラスチック(PET)を減らして、もっとペット(PET)を増やそう」をコンセプトに掲げ、リサイクルペットボトルを原料にしたぬいぐるみを販売しています。
さらに商品を包む包装紙や配送方法にいたるまで、すべての過程で環境に負荷をかけないシステムづくりを実践しています。
「ペットボトルからぬいぐるみを作る」と聞いてもいまいちピンとこないかもしれませんが、ペットボトルは細かく破砕されると「ペットフレーク」という原料になります。
これを加工すると合成繊維になり、近年ではぬいぐるみの中綿などに使われることが増えてきています。
green rubber toys(グリーンラバートイズ)
グリーンラバートイズは、スリランカのおもちゃメーカーです。
主にゴム製のフィギュアを製造していますが、原料には通常のゴムではなく、人体にも環境にも優しい天然素材のラテックスを使用しています。
極力環境負荷の少ない方法で慎重にゴムの木から採取した原料を使い、熟練の職人たちが一つ一つ丁寧に手作りしています。
このように天然素材から作られたフィギュアは、約5年で土に還ると言われています。
フィギュアで沢山遊んだ後は、楽しかった記憶を閉じ込めるように土に還すというのも一興かもしれませんね。
Clementoni(クレメントーニ)
クレメント―ニは、イタリアのおもちゃメーカーです。
ジグソーパズルなどを販売していることで有名ですが、「マイオーガニックコスメティックラボ」というエコトイも販売しています。
このエコトイは、本格的なシリンダーやスポイトなどの実験器具と、オーガニック認定を受けた原料や香料などがセットになっています。
これらを混ぜることで、自分だけのオリジナルシャンプーやクリームなどを作成することができます。
さらに、セットに使われているボトルはリサイクル原料から作られています。
このエコトイで遊べば、実験によって好奇心を育みながら、オーガニック素材やリサイクルについても自然と理解を深めることができそうですね。
Science4you(サイエンスフォーユー)
サイエンスフォーユーは、イギリスのおもちゃメーカーです。
「Science(科学)」、「Technology(科学技術)」、「Engineering(工学)、「Mathematics(数学)」を略した「STEM」をコンセプトに掲げたおもちゃを販売しています。
そんなサイエンスフォーユーからは、「グリーン・サイエンス」というエコトイが販売されています。
グリーン・サイエンスは、「古い素材を活用して地球に優しいものを作る」という体験ができるおもちゃです。
具体的には、生分解性プラスチックや自然素材から作られたパーツを組み合わせてソーラーオーブンなどを作成し、それを使ってマシュマロを焼いて食べるという、「リユース」、「リデュース」、「リサイクル」、「リカバー」を1個のおもちゃで体験できる仕組みになっています。
その仕組みが評価され、2020年には最も優れたおもちゃに与えられる「Toy Awards 2020」にノミネートされました。
まとめ
今世界では着々とエコトイが増えていること、そしてそのどれもがただエコなだけでなく、楽しく遊べる工夫が施されていることが分かりました。
タカラトミーの掲げるコンセプトのように、100年先も資源が枯渇することなく、子供たちがおもちゃで楽しく遊べる世界であって欲しいものですね。