サバンナ、砂漠、熱帯雨林と、雄大な自然環境を数多く有するアフリカ。
今回は、そんなアフリカの国立公園を10ヶ所紹介していきます。
マーチソン・フォールズ国立公園(ウガンダ)
マーチソン・フォールズ国立公園は、ウガンダ北西部にあるウガンダで最も大きな国立公園です。
隣接するブグング野生生物保護区、カルマ野生生物保護区とともに、マーチソン・フォールズ保護区を形成しています。
わずか6メートルの幅を水が勢いよく流れ落ちるマーチソン滝、600メガワットの発電量を持つ水力発電所の建設が予定されているカルマ滝などが有名です。
また、マーチソン・フォールズ保護区に隣接するブドンゴ森林保護区には、ウガンダ最大の生息数を誇るナイルワニをはじめとした76種の哺乳類が生息しています。
鳥類は、ハシビロコウ、ブドンゴ、コビトカワセミなど、多様性に富んだ450種の鳥類が生息しています。
これらの保護区は、2005年以来ライオンの保護区域としても活用されており、2006年には国際的に重要な湿地を保全するラムサール条約に登録されました。
マゴ国立公園(エチオピア)
マゴ国立公園は、エチオピア南西部にある国立公園です。
エチオピア南部を流れるオモ川下流の東岸に広がっており、園内にはオモ川の支流マゴ川、さらにその支流のネリ川が流れています。
公園の南側には標高の低い平原が広がり、北側の境界付近には園内の最高地点であるマゴ山や、ムルシ山地がそびえ立っています。
園内の大半は、アカシアが生い茂る灌木帯や草原となっていますが、川の流域にはタマリンドやエジプトイチジクなどが生い茂る河辺林も広がっています。
またマゴ国立公園には、アフリカスイギュウ、ライオン、キリンなどの哺乳類が81種、ウロコムネヤブチメドリ、イボトキなどの鳥類は300種類以上生息しています。
希少な鳥類が豊富に生息していることから、マゴ国立公園は重要野鳥生息地の基準A3(生物群系限定種が多く生息する)と評価されています。
ニョコロ=コバ国立公園(セネガル)
ニョコロ=コバ国立公園は、ギニア共和国の国境に近いセネガル南東部にある、西アフリカ最大の国立公園です。
園内にはガンビア川とその支流が流れており、支流の一つである「ニョコロ=コバ川」が公園名の由来になっています。
園内は全体的に平坦となっていますが、公園南東にあるフタ=ジャロン山脈の支脈周辺は起伏に富んでおり、セネガルとギニアの自然の国境を形成しています。
また、一年中干上がることのないシマンティの沼地は、サバンナの動物たちが渇きを癒したり、泥で寝転んだりするために訪れるオアシスになっています。
ニョコロ=コバ公園には、ヒョウ、チンパンジー、カバなどの哺乳類が80種、ナイルオオトカゲ、ナイルワニ、カメなどの爬虫類が36種、カンムリヅル、ゴマバラワシなどの鳥類が330種生息しています。
また、バオバブやカヤなどの植物は、およそ1500種生育しています。
トゥルカナ湖国立公園群(ケニア)
トゥルカナ湖国立公園群は、ケニア北部に位置するトゥルカナ湖を有する、3つの国立公園の総称です。
東岸に立地するシビロイ国立公園、湖の中央からやや南のセントラル・アイランド国立公園、南端近くのサウス・アイランド国立公園で構成されています。
トゥルカナ湖は、大地溝帯にある湖のうち最も北に位置しており、湖水は植物プランクトンによって美しい翡翠色をしています。
湖岸には荒涼とした砂漠が広がっており、水鳥、ナイルワニ、カバなどの大規模な生息地となっています。
また、トゥルカナ湖東岸では太古の人類の化石が多数発見されるなど、手つかずの自然だけでなく文化的価値も有していることから、1997年に世界遺産に登録されました。
一方で、近年隣国のエチオピアによってアフリカ最大のダムを建設する計画が進められており、これが実現すればトゥルカナ湖の自然環境は大きく乱される可能性があるため、2018年には危機遺産にも登録されています。
サロンガ国立公園(コンゴ)
サロンガ国立公園は、コンゴ民主共和国中央部にある、コンゴで最も大きな国立公園です。
園内にはコンゴ川と、その支流のロメラ川やメサロンガ川などが流れています。
アフリカ最大の熱帯雨林が残っており、高温多湿のジャングルが広がっています。
この公園の特徴は、ボノボ、ボンゴ、オカピなどの珍しい動物が多数生息している点です。
特に野生のボノボはコンゴでしか見ることができず、サロンガ国立公園にはそのうちの2万頭が生息していると言われています。
これらの理由から、1984年には世界遺産に登録されました。
一方で、国立公園付近の人口増加や森林伐採などによる環境悪化、そしてコンゴの情勢悪化などの影響で、1999年には危機遺産リストに加えられましたが、その後環境改善に努め、2021年にリストから解除されました。
セレンゲティ国立公園(タンザニア)
セレンゲティ国立公園は、タンザニア連合共和国北部にある、アフリカで最も有名な国立公園です。
セレンゲティは、マサイ語で「果てしなく広がる平原」という意味を持っています。
その名の通り、公園はビクトリア湖の東に広がる大サバンナ地帯に位置しており、そのうち大半が広々とした草原で覆われています。
その他、園内には川や沼、湖もあり、平原の所々には岩石が露出しています。
また、園内には多様な動物が約300万頭生息しており、そのうちの約3割はヌーだと言われています。乾季の7、8月になるとヌーは水を求め、隣接しているケニア側のマサイマラ国立保護区への大移動を始めます。
そして2月ごろになると、マサイマラから戻ったヌーが地平線を埋め尽くし、壮大な自然の一場面を生み出します。
このように、セレンゲティ国立公園は独特で雄大な景観を有していることから、1981年には世界遺産に登録されています。
ザンガ=ンドキ国立公園(中央アフリカ)
ザンガ=ンドキ国立公園は、中央アフリカ共和国南西部に位置する国立公園です。
公園は、北のザンガ地区(ザンガ自然公園)と南のンドキ地区(ンドキ自然公園)という2つの地区で構成されています。
特にザンガ地区では、1平方キロメートル当たり1.6頭というニシローランドゴリラの生息数の多さが有名です。
これは、ニシローランドゴリラの生息密度としては世界最大級だと言われています。
ゴリラの他にも、マルミミゾウ、チンパンジー、モリイノシシなどの動物が多数生息しています。
また、ザンガ=ンドキ国立公園は重要野鳥生息地にもなっています。
ザンガ=ンドキ国立公園で報告されている鳥類は350種以上にのぼり、少なくとも260種が繁殖地としているものと見込まれています。
チョベ国立公園(ボツワナ)
チョベ国立公園は、ボツワナ北端部にある国立公園です。
ボツワナ初の国立公園であるとともに、アフリカ大陸の中でも野生動物が多く生息している地域の一つとして知られています。
園内は、世界三大瀑布の一つであるビクトリアの滝に最も近い「セロンデラ」、大規模なサバンナや草原が広がる「サヴティ」、野生動物が高密度で生息する「リニャンティ」、暑くて乾いた内陸部の「ノガツァ」の4エリアで構成されており、それぞれが異なる生態系を持っています。
何よりチョベ国立公園の最大の特徴は、アフリカゾウの生息数の多さです。
アフリカ大陸で最も生息密度が高いと言われており、現在はおよそ50000頭が生息しています。
クルーガー国立公園(南アフリカ)
クルーガー国立公園は、南アフリカ共和国北東部にある国立公園です。
隣接しているジンバブエにあるゴナレゾウ国立公園、モザンビークにあるリンポポ国立公園と合わせて、「大リンポポ越境公園」と呼ばれることもあります。
公園内の植物は「赤藪柳の草原」、「ウルシの草原」、「赤藪柳とジャケツイバラ」、「ジャケツイバラ灌木草原」の4つのエリアに分かれて生育しています。
また、この公園はアフリカ有数の大きさを誇る大鳥獣保護区であり、517種の鳥類(渡り鳥を含む)と、ライオン、ヒョウ、ゾウ、サイ、バッファローのいわゆる「ビッグ5」を見ることができます。
さらに、クルーガー国立公園では南アフリカ全体で400頭程しかいないと言われる程の絶滅危惧種である、リカオンの保護を支援しています。
ナミブ=ナウクルフト国立公園(ナミビア)
ナミブ=ナウクルフト国立公園は、ナミビア中南部にある国立公園です。
ナミブ砂漠とナウクルフト山にまたがる国立公園で、アフリカで最大、世界でも4番目の面積を誇っています。
園内に広がる鮮やかなオレンジ色の砂丘の他に、公園東端のナウクルフト山脈に存在する高い残丘と血のような赤色の花崗岩が特徴です。
園内の砂丘は最大で地上300メートルもの高さとなり、世界で最も高さのある砂丘として知られています。
非常に乾燥している地域にもかかわらず、ヘビやヤモリ、昆虫、ハイエナ、ジャッカルなどが生息しています。
また、海岸沿いの干潟や湿地には時に数百万羽の鳥が飛来することもあるそうです。
まとめ
太古から形成される自然環境、歴史や文化、その地で生きる生物など、そのどれもがアフリカ特有のものであることが分かりましたね。
なお、今回紹介した国立公園の中には、現在は立ち入り禁止になっている場所もあるので、「コロナ収束後に行ってみたい!」と思った場合は事前に調査しておくことをオススメします。