以前の記事では、Netflixで見られる環境映画をご紹介しましたが、今回はAmazonプライムビデオで観られる環境映画の中から、選りすぐりの5作品をご紹介していきたいと思います。
ちなみにドキュメンタリー映画が多いNetflixに対し、Amazonプライムビデオにはフィクション形式の映画も豊富に揃っているので、Netflixとはまた違ったラインナップを楽しんでいただけたら幸いです。それでは、1作品ずつチェックしていきましょう。
デイ・アフター・トゥモロー(2004)
アメリカ・ワシントンにて妻と息子と3人で暮らす気象学者のジャックは、ある日地層調査のために訪れた南極で棚氷が溶けていたのを目の当たりにし、地球規模で異常事態が起こり始めたことに気付きます。
やがて世界各地で巨大台風、洪水、津波などの大災害が発生し、氷河期が地球全体を襲います。
ジャックは長年の研究で得た災害対策知識を武器に、未曽有の大災害に巻き込まれた周囲の人々、そして何よりも家族を救うために奔走します。
この作品は大枠で見ればSF・パニック映画に分類され、ストーリーも基本はフィクションがベースとなっています。
しかし、映画公開より2年前の2002年には、実際に南極で棚氷が溶ける事態が発生しており、その当時の崩落シーンは映画内にも使用されています。
またこの作品の制作チームは、撮影時に排出されたCO2を吸収するための植林活動も行い、その資金として20万ドルを拠出しています。
パニック映画として楽しめるだけではなく、環境問題についても深く考えさせられるこの作品は、アメリカに限らず世界中で大ヒットを記録しました。
地球温暖化はすべての人間にとって、普遍的な課題だということが分かりますね。
不都合な真実(2006)
第79回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞・アカデミー歌曲賞を受賞したこの作品は、まさに「環境映画の金字塔的作品」といっても過言ではありません。
アメリカの元副大統領であるアル・ゴア氏は、幼少期を自然豊かなテネシー州の川の畔で過ごしました。
成人し、やがて政治家となった彼は故郷の風景を守り、後世にも受け継ぎたいと強く思っていましたが、その思いとは裏腹に地球温暖化は年々進行の一途を辿っていました。
そして、その原因の多くはアメリカをはじめとした先進国にあるにも関わらず政治家たちは問題を深刻に捉えず、地球温暖化防止策を出すことに乗り気ではありませんでした。
その事態に危機感を抱いたゴア氏は地球温暖化に対する人々の理解を深めるべく、世界各地を巡る講演活動をスタートさせます。
この作品は、ゴア氏が実際に行ってきた講演会、そして講演会で使用されたフィルムをそのまま映像化しています。
ゴア氏の軽妙ながらも環境問題の実態を切実に訴えかける講演は、聞く者の心を強く揺り動かし、公開から15年近く経った今なお、伝説的なドキュメンタリー映画として支持されています。
ちなみに2017年には、続編となる『不都合な真実2:放置された地球』が公開されています。
前作に多くの人が感銘を受けたにも関わらず、なおも進行する地球温暖化や対策に消極的な政府の態度には、観た者にある種の絶望さえ与えるかもしれません。
しかし、「それでも環境問題について考えることをやめてはならない」ということを、私たちに教えてくれる作品となっています。
愚か者の時代にいる(2009)
物語の舞台は2055年、荒廃した世界に住むある一人の老人が、2008年頃の人類の記録映像を振り返るところから始まります。
ヨーロッパアルプスの氷河減少に危機を感じているベテラン登山ガイド、石油をめぐる戦争で家族を失ったイラクの子どもたちなど、老人が見るデータの中の人物たちはみな、気候変動や化石燃料問題を身近に感じた人々です。
私たちは未来を生きる老人の目を通し、現代で起こっている環境問題が近い将来、どのような影響を及ぼすかを知っていくことになります。
2055年という時代、そしてそこに住む老人の存在はフィクションとなっていますが、老人が見る映像には、実際の世界で生きる人々や起きた出来事が記録されています。
とはいえ、この作品は今から10年以上前に製作されているため、映画内で取り上げられている問題と2020年現在に起こっている問題とでは、異なる点も多々あるかもしれません。
しかしいずれにせよ言えることは、環境問題への十分な取り組みができている国は、依然としてあまり多くはないということです。
そして劇中で語られる通り、現代の暮らしの影響が地球環境に直接変化を及ぼすのは、30~40年後になると言われています。
2020年現在から数えると、2055年はちょうどその時期に当たるでしょう。
つまり今の私たちの暮らしが、未来の地球環境を創っているといっても過言ではないということです。
その上でこの作品は、地球に暮らす一人一人が当事者としての意識を持ち、取り返しがつかなくなる前に地球環境改善について考えることの重要性を問いかけています。
地球にやさしい生活(2011)
この作品は、ニューヨーク在住のライターであるコリン・ビーバン氏とその妻と娘による、
「徹底的に環境負荷の少ない生活を送る」という実験に1年間密着したドキュメンタリー映画となっています。
缶またはペットボトル飲料を買わない、エレベーターは使わない、地下鉄やタクシーなどの交通機関を使わない、テレビを見ない…など、一見すると極端なまでのエコライフを送る中で、便利過ぎる現代での生活を見直していくという内容です。
実験の最中は上手くいくことばかりではなく、ビーバン氏は度々妻や友人と衝突したり、
ロウソクのみでの生活に限界を感じソーラーパネルを導入するなど、
失敗や試行錯誤を幾度となく繰り返すことになります。
その姿は、観る者に「完璧なエコライフを実現することの難しさ」をリアルに伝えてきますが、同時に「個人個人ができる範囲で環境負荷軽減に取り組むことの大切さ」も教えてくれます。
また、世界規模ではなく1つの家族とその周りの人々に焦点を当ててストーリーが進んでいくため、鑑賞後も比較的気持ちが重くならず、「自分もできることからはじめてみようかな」と前向きにさせてくれる作品となっています。
地球が壊れる前に(2011)
この作品は、長年の環境問題への取り組みが認められ、国連平和大使にも就任したレオナルド・ディカプリオ氏がプロデュースから出演までを行ったドキュメンタリー映画です。
ちなみに製作総指揮は、『タクシードライバー』や『ウルフ・オブ・ウォールストリート』などのヒット作を手掛けたマーティン・スコセッシ氏が務めています。
「今」地球で起こっている気候変動を確かめるべく2年間世界を巡ったディカプリオ氏は、旅先の国々で起こっている、様々な環境破壊を目の当たりにします。
また、オバマ前大統領やローマ教皇などの各国のリーダーとも対談を行う中で、深刻化する環境破壊を食い止めるための方法を模索していきます。
映画の中でディカプリオ氏は、ハリウッドスターとしての自身の影響力を最大限に駆使し、環境問題に取り組むことの重要性を積極的に発信しています。
また、環境汚染により自然が崩壊していく様子も分かりやすく映像として残されているため、今までは「自分には関係ない」と思いがちだった中国の大気汚染や北極の氷河減少なども、この作品を観ることによって身近な問題として捉えられるようになっています。
何より、たとえディカプリオ氏ほどの影響力がなかったとしても、このような作品を観た人々が少しでも環境問題を意識するようになれば、それだけでも地球環境改善への前進になると言えるでしょう。
まとめ
今回はAmazonプライムビデオで観られるお勧めの環境映画をご紹介してきましたが、Netflixのラインナップに負けず劣らず、魅力的な作品揃いだということが分かりましたね。「どれも魅力的過ぎて、逆に何から観ていいか分からない!」という方もいるかもしれませんが、その場合は「今自分が一番気になっていること」に最も近いテーマを持った作品をまずは1本選び、それから観てみると良いかもしれません。
当社スタッフも、映画やその他の媒体で環境問題について学びながら、できる限りの取り組みを今後も模索していきたいと思います。