環境配慮も最先端!Appleによるクリエイティブな環境保全活動とは

エコな取り組み

iPhoneやMacなど、常に世界の最先端を更新する製品を世に送り出し続けているAppleですが、環境保全活動においても最先端を走っていることはご存知でしょうか?

ここ数年、Appleは自社だけの取り組みに留まらず、サプライヤー(関連企業)に再エネの導入やカーボンニュートラルを推進するはたらきかけを行っています。
Appleによる使用電力の100%再生可能エネルギー化を目指すプロジェクト、エネルギー効率化プロジェクト、リサイクル素材の使用促進、希少資源を保護するための投資を行うなどの様々な取り組みは世界的に評価され、2019年には日本の環境省がAppleの取り組みに対し、「サーキュラーエコノミー(循環型経済)の良い事例である」として表彰しています。

今回は、言わずと知れた大企業のAppleが取り組んでいる数々の環境保全活動について見ていきましょう。

Appleによる「カーボンニュートラル計画」

2020年7月、Appleは「事業、製造に関わるサプライチェーン、製品ライフサイクルのすべてを通して、2030年までにカーボンニュートラルを100%達成する」という「ネットゼロ計画」を発表しています。
実は発表した段階で、Appleは企業運営においては既にカーボンニュートラルを達成していたのですが、2020年の発表ではAppleから販売されるすべての製品においても、2030年までにネットゼロを達成することが目標となっています。
この計画に対し、Appleの現CEOティム・クック氏は、「気候変動に対するアクションを起こすことは、これからの時代の新たなイノベーションの可能性、雇用創出、そしてサステナブルな経済成長の礎になり得る」と述べています。

Appleは100%カーボンニュートラルの達成を自社だけでなく他社にも促すべく、カーボンニュートラルを達成するためにAppleが取り組んでいる「気候ロードマップ」を公開しています。
その内容は、以下になります。

・低炭素製品の設計
Appleではより多くの再生素材を選んでデバイスを製造するとともに、デバイスが消費するエネルギー量を減らしていきます。

・エネルギー効率の向上および拡大
販売ストア、オフィス、カスタマーセンター、製造施設など、Appleが有するすべての施設におけるエネルギー効率をより一層高めると共に、サプライチェーンにも同じ手法を取り入れるよう促進します。

・再生可能エネルギーの100%導入
製造サプライチェーンで使われる電力を、すべて太陽光や風力などの再生可能エネルギーに切り替えるためのプロジェクトを進めていきます。

直接排出の削減
温室効果ガスの排出を削減するべく、Appleが有する施設とサプライチェーンにおける製造工程を革新しています。

二酸化炭素除去への投資
Appleでは二酸化炭素を除去し、自然の力によって気候変動を解決するべく、森林、生態系保護、エコシステムの回復に向けた投資をしています。

次はこれらのロードマップをもとにした、より具体的な取り組み内容を紹介していきます。

製品には「リサイクル可能素材」を使用

Appleでは、製品に使用する素材が自然環境、世界全体にどのような影響を与えるかについて分析し、その上で厳選した14の「リサイクル材もしくは再生可能な素材」を優先的に使用し、製品製造を行っています。
その14の素材は、以下の通りです。

・紙
・プラスチック

・アルミニウム
・コバルト
・亜鉛
・金
・銅
・ガラス
・リチウム
・希土類元素
・鋼鉄
・タンタル
・スズ
・タングステン

現在はこれらの素材が優先的に使用されていますが、100%リサイクル可能な素材の調達にはまだ至っていません。
そのため優先素材の分析は、今後も継続的に行われていくとのことです。

また、製品用の容器包装の素材も見直しが行われています。
従来の容器包装には主にプラスチックが使用されていましたが、プラスチックごみ問題が年々深刻化していることを踏まえ、近年では再生素材への移行や容器包装そのものの削減が進んでいます。
現在、容器包装の大半は繊維からつくられ、販売ストアでのレジ袋もすべて100%再生素材の繊維からつくられたものに移行しています。

そしてAppleは2017年以降、紙と容器包装に使用する木材繊維はすべてリサイクル材もしくは責任ある供給源から調達しているため、紙の循環サプライチェーンを確立した企業としても知られています。

独自の「リサイクルロボット」を開発

前述した通り、すべての製品にリサイクル可能な素材を使用するようになったAppleですが、肝心となるのは「いかにして使用済み製品からリサイクル可能素材を回収するか」という点です。
この課題を解決するべく、アメリカ・テキサス州のApple素材再生研究所では正確に素材を回収するための技術研究が行われました。

その結果、Appleは独自の技術を搭載したリサイクルロボットの「Daisy」と「Dave」を発表しました。
この2体のロボットが行うのは、「iPhoneの分解」と「リサイクル素材の回収」です。
Daisyが5つのアームを駆使し1時間に200台の速さでiPhoneを分解した後、
DaveがiPhoneに含まれている鋼鉄、希土類元素、タングステンなどのリサイクル可能素材を回収します。
回収された素材は原料市場に送られ、Appleや他企業が新たな製品をつくるために使用されます。

Daisyによって分解されたiPhoneの部品は、2021年6月時点で1トンにものぼっています。
ここには、150トンの鉱石から採れる分と同量の金と銅が含まれています。

また2体の活躍によって、2020年には39,000トンの電子廃棄物が埋め立て処理されることなく再利用されました。

圧巻!Apple新本社に設置された太陽光パネル

Appleが世界各地に抱える同社のすべての施設では、100%再生可能エネルギーで施設内電力が賄われています。
数ある施設の中でも特に圧巻な設備を構えているのが、2017年から稼働している、カリフォルニア州クパティーノに位置するApple新本社の「Campus2」です。
巨大な輪のような施設の屋根部分にはびっしりと太陽光パネルが敷き詰められており、その発電容量はなんと17MW!
その規格外の規模は、世界最高峰のIT企業であるAppleらしいと言えるでしょう。

また、Appleの創業者の一人であるスティーブ・ジョブズ氏は、エアコン(特に換気扇)を使用すること、またオフィスの窓が開けられることを嫌っていました。
新本社にはそんなジョブス氏が提案した、外気を自然に室内へ取り入れる「換気システム」が導入されています。
この換気システムは外の風向きをセンサーで感知し、外気を効率良く取り入れて換気する仕組みとなっています。
これにより室内温度は年間を通して20度から25度に保たれ、空調を使うのはよほど寒い時か暑い時だけで十分だそうです。

さらに太陽光発電システムと換気システムに加え、新本社には蓄電池も導入されています。
蓄電池があれば日中に太陽光で発電した電気を夜間に使用でき、また停電時などに備えて電気を蓄えておけるため、発電した電気を効率的に消費することができます。
このようなApple新本社の取り組みは、近年普及しているZEBやZEHなどの理想的なモデルとも言えるでしょう。

グローバルな再エネ供給

Appleは自社だけでなく、誰もが再生可能エネルギーを利用できる世界をつくるための「再生可能エネルギープロジェクト」にも取り組んでいます。
世界各地の公益事業団体と協力し、それぞれの地域に合った再生可能エネルギーシステムを提案し、開発しています。
このプロジェクトでは、太陽光、風力、水力、バイオマスなど幅広いエネルギーが対象となっています。

また、Appleは東南アジアや南アフリカといった、クリーンエネルギーの入手が比較的難しいコミュニティに対して費用対効果の高い再生可能エネルギーを供給しています。
具体例として、Appleのプロジェクトによって南アフリカに設置された152kWの太陽光発電システムと830kWhの蓄電システムは、3,600世帯に日々電力を提供しています。

水の削減や再利用にも積極的

Appleは、水の使用量の削減や再利用の促進など、「賢く水を使うこと」にも力を入れています。
水による影響が少ない直営店から、冷却や加工などの工程により水を多く使用するデータセンターやサプライヤーの製造工場に至るまで、様々な形で効率的に水を使用しています。

施設を新設する際はまず用地を適切に選定し、水の効率的な使用と再利用を考慮して設計することから始めるなど、Appleでは水に与える影響を極力減らすための措置が常に講じられています。
また再利用水に限らず、雨水や凝縮水などといった「代替水資源」の使用も拡大しています。

まとめ

今回は、Appleが取り組む様々な環境保全活動について紹介していきました。
どの取り組みもスケールが大きく、「さすがはApple!」と思った人も多いのではないでしょうか。
テクノロジーの面でも環境保全の面でも常に時代の一歩先を行くAppleからは、今後も目が離せませんね!

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